新設住宅着工戸数は毎月最終日(平日)に1カ月遅れ(例えば3月分が4月末日に)で、国土交通省から発表されます。
2021年3月の新設住宅着工戸数(総数)は71787戸、前年同月比でプラス1.5%となりました。総数としては2019年6月以来、21カ月ぶりに前年同月比でプラスとなりました。事前の3月分の予測は-7,1%でしたので、が予想外によかったことがうかがえます。
カテゴリー別にみると、持ち家は前年同月比でプラス0.5%(5カ月連続)、このところ大きく落としていた貸家(賃貸住宅)は前年同月比でプラス2.6%、これは31カ月(約2年半)ぶりの増加、分譲(マンション・戸建)は前年同月比でプラス2.8%となり、どれも大幅に改善基調になりました。
新設住宅着工戸数は、景気上昇期待、住宅価格上昇期待の表れともいえ、景気判断に役立ちます。また、住宅建築は、土地や建物だけでなく、家電製品、家具や照明、カーテンなど、幅広い需要につながりますので、新設住宅着工戸数の増加はかなり好ましい状況と言えます。
移動合計でみる20年1月以降の傾向
年単位でデータを集計するとき、暦年(1~12月)、年度(4~3月)、というパターンがあります。かつては年度が多かったようですが、最近では暦年が多いようです。
季節要因があり、かつ月単位で公表されるデータは年単位で見ることが多いですが、そうすると、年単位での変化しか見れず、細かな傾向がつかめません。そこで、移動年合計という形で見る方法があります。
図1は、新設住宅着工戸数(総数)の全国合計を月単位で移動させて年計を算出したものです。
例えば、4月の数字は、前年5月~4月の12カ月合計ということです。
これをみると、2020年秋ごろまでは、減少が続き、その後横ばい、ここにきて少しずつ回復のキザシが見えてきた、という状況です。
図2は、新設住宅着工戸数のうち貸家だけを抽出したものです。こちらも2020年12月まではずっと減少傾向、21年に入り減少が止まり、横ばい基調になっています。
沖縄県における新設住宅着工戸数、移動年合計の推移
図3は、沖縄県における年度計(4~3月)の新設住宅着工戸数(総数)の2012年度~20年度までの推移です。2018年度以降の減少が目立ちます。
一方、2020年以降の月単位移動年合計でみたものが、図4です。
先に見た全国では、減少傾向が止まり横ばい期になっていますが、沖縄県ではまだ減少が続いています。
図5は、沖縄県新設住宅着工戸数のうち、貸家だけを抽出したものの、移動年合計です。
ここ数か月、総計よりは、多少良い傾向ですが、まだ回復基調になっていません。
回復には、そう時間がかかるとは思いませんが、金利上昇可能性などが少し見え始めてきたので、注視しておきたいところです。