空き家実態調査を読み解く

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空き家は何が問題なのか

「空き家が全国的に社会問題化している」といわれています。空き家が多く存在すると、どんな問題があるのでしょう。
 空き家が多くあると、防犯上よくない、街の景観がよくない、土地(不動産)の有効活用ができない、所有者不明ならば立ち退きなのが難しい・・などの理由があげられます。

空き家所有者実態調査

 国土交通省が主体となって行う「空き家所有者実態調査」は、5年に1度総務省が実施している「平成30年住宅・土地統計調査」において「居住世帯のない住宅(空き家)を所有している」と回答した中から、全国で約1万4千世帯を無作為に抽出した世帯を調査の対象としています。
 最新の「空き家所有者実態調査」が20年12月半ばに発表されましたので、その中から一部を見てみましょう。
 以下、国土交通省資料より、今回の調査のポイントをお伝えします。

 
(1)空き家の5割超は腐朽・破損がある。
別荘や貸家・売却用等以外の「その他」の空き家では、腐朽・破損がある割合が6割を超える。

(2)空き家の約4割は、最寄りの鉄道駅から2,000m以上離れている。
貸家用の空き家の約半数は、鉄道駅から1,000m未満に立地。

(3)所有世帯の約7割は、空き家まで1時間以内の場所に居住。
貸家用やその他の空き家を所有している世帯は、比較的近くに居住している割合が大きく、1時間以内が8割を超える。

(4)空き家の管理頻度は、「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割。
二次的住宅・別荘用の空き家の利用頻度についても「月に1回~数回」の割合が最も大きく約4割。

(5)き家を取得した際に、登記の名義変更や新たに登記を行った割合は約8割。
利用現況がその他の空き家や、相続により取得した空き家は、「いずれも行っていない」割合が約2割見られる。

(6)今後5年程度の利用意向は、「空き家にしておく」が約3割、「賃貸・売却」や「セカン
ドハウスなどとして利用」がそれぞれ約2割。

(7)賃貸・売却の場合の課題は、「買い手・借り手の少なさ」「住宅の傷み」「設備や建具の古さ」の順になっている。

(8)寄付・贈与の意向があるもののうち、一定の費用負担を伴っても寄付・贈与をしたい人の割合は、約4割であった。

(9)空き家にしておく理由は、「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「さら地にしても使い道がない」の順になっている。

 

空き家と、接道の関係

この調査の中で、興味深いものを見つけましたので、お伝えします。

 
空き家実態調査を読み解く|資産活用総研 大鏡建設

 一番左のグラフは、空き家の総数です。全国での空き家率は13.6%、沖縄県では10.4%、那覇市では10.3%となっています。次は、接道している空き家数の総数に対する割合です。

 その右からは、空き家総数に対しての比率となります。
全国でみると、接道が2メートル以下と接道していない物件が2割を超えて目立ちます。沖縄県においては全国の割合よりも低いですが、割合では上位2つとなっています。
 周辺との一体開発でないと「再建築ができない」という状況です。こうした物件が空き家となることが多いことが、数字でもはっきりしています。
 こうした問題を解決することは、行政とデベロッパーが一体となって取り組むことが重要でしょう。