国土交通省から1月末に2020年12月分の建築着工統計調査が発表されました。これにより2020年1~12月、年間の数字が出そろいました。
2020年の全国新築住宅着工戸数(全分類合計)は前年比マイナス9.9%の81万5,340戸でした。新型コロナウイルスの感染拡大などの影響が大きく出たと考えられます。全カテゴリー合計値の減少は4年連続で、戸数は2010年(81万3126戸)以来の低水準でした。
ここからは沖縄県の状況にフォーカスしてお伝えします。
総数は3割近い大幅減少
2020年沖縄県における住宅着工戸数は、10703戸で前年比マイナス29.1%となりました。
持ち家(請負契約・注文住宅)はマイナス20%、貸家(賃貸住宅)はマイナス38.4%、分譲(分譲マンション・建売住宅)はマイナス21%となり、どのカテゴリーも大きく減少しました。
図1は、2015年以降の住宅着工戸数の推移です。これをみると分かるように、2020年の総数では、過去5年間の約2/3程度になっています。
特に、総数の約7割を占めていた貸家の建築数が前年比で40%近いマイナスになったことが大きく響いています。
次に月別に見てみましょう。
図2は貸家着工戸数を2016年以降月別に示したものです。
新型コロナウイルスの影響というよりも、2019年夏以降減少が続いており、そこから脱していないという状況です。
次に、もう少し長期で見てみましょう。
図3は1988年以降の住宅着工戸数をカテゴリー別に示したものです。
沖縄県の住宅着工戸数(総数)では、5~7年ごとのサイクルがあるのが分かります。概ね上昇サイクルなのは、1992年~96年(5年)、2000年~06年(7年)、この後はリーマンショックの影響が出る前に大きく落ち込みました。そして2013年~18年(6年)です。
また、近年もそうですが長期的に見ても、特に2000年頃以降は、総数の7割近くが貸家で、貸家の着工戸数が増える傾向にあれば、全体も増えるようになっています。
2021年の着工戸数は、新型コロナウイルスの影響がこのまま収束に向かいはじめているとするならば、反動増が大いに期待できると思います。