沖縄における不動産市況の見通しとDI調査分析

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2020年の振り返りと2021年の見通しをお伝えします。
 
 2020年の不動産市況は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた状況となりました。
ただ、エリアにより落ち込み幅は大きく異なっています。

 
 比較的落ち込みが少なかった東京(首都圏)の住宅(実需)や投資マンションの市況は、「緊急事態宣言が出された期間との前後を除けば、概ね前年並みだった。」といえる状況でした。しかし、その他の地域は、かなりの落ち込みが見られました。

 
 新設住宅着工戸数は、10月分まで発表されていますが、全国で見ると20%を超える大幅減になっていますが、最も影響が少ないのが東京都となっています。特に全体の約4割を占める貸家(賃貸用住宅)の落ち込みは全国に大きくなっていますが、東京では少しの落込みに留まっています。

 
 沖縄県において貸家の着工戸数は、昨年2019年の1~10月は7878戸でしたが、今年は4803戸と大幅減少になっています。
 
もう少し細かく見ていきましょう。
 
まずは、投資不動産市況の全般論から。

レジデンス投資の動向と2021年の見通し

 レジデンス投資の市況は、新型コロナウイルスの影響があまり見られませんでした。ただ、サラリーマンの方がワンルームマンションを買うような小ぶりな投資物件は、セミナーの開催が減少するなど、プロモーションを控えていた状況に加えて、「もう少し落ち着いてから」というマインドも見られ、やや販売数は落ち込んだようです。しかし、投資家アンケート等見ると、投資家の意欲が減少しているという状況ではないようです。逆に、地主の方むけの土地活用投資は、ほとんどのエリアで大きく落ち込みました。

 
 逆に、主に専門的な投資家や富裕層が購入するような1棟モノのレジ物件は、昨今の株式市場が好調と同じように、好調を維持しています。国内投資家に加え、海外投資家(主にアジア圏)も積極的に「買い」に走っているようです。

 
 また、金融機関の融資姿勢ですが、リーマンショックの時のように引き締めの兆候は見られません。低金利もしばらく続くことは、ほぼ確実だと思います。
 こうしたことから、2021年のレジデンス投資(ワンルームマンション、1棟モノ)とも、現在のように好調をキープするものと思われます。ただ、新型コロナウイルスの影響が長引き、サラリーマン投資家のような方の戻りが遅くなることが懸念材料でしょう。
 土地活用投資は、一般地主の方々は、新型コロナウイルスの影響が徐々に減ってきても、なおしばらく様子見が続くものと思われますので、2021年も引き続き苦戦の可能性が高いと思います。

 
 ではここからは、沖縄の不動産市況を、不動産市況DIを見ながら考えましょう。

 
沖縄における不動産市況の見通しとDI調査分析|資産活用総研 大鏡建設

 
上図は、県内業界関係者向けのアンケートにより算出された不動産取引件数DIの推移を示しています。2019年に入り徐々にネガティブ基調(0以下になる)になっていましたが、2020年上期(5月)はちょうど新型コロナウイルスの影響が最も深刻だった時期ということもあり、大きく落ち込みました。しかし、落ち込みは止まり、2021年はだいぶ回復すると考えている方が多いようです。宅地の回復が早く、マンション・戸建はその後ということになりそうです。これは、需要の溜まり加減が大きな要因だと思われます。

 
次は、沖縄県における不動産賃料のDIの推移です。
 

沖縄における不動産市況の見通しとDI調査分析|資産活用総研 大鏡建設
 

 
 共同住宅の賃料は、2020年上期(5月)時点での予想では、多くの方が「この後は賃料・稼働率とも、ネガティブ基調」と思っていたようですが、結果的にはそうはならず、またこの後は横ばい~上昇イメージが強いようです。
 
一方、店舗の賃料・稼働率とも、かなり厳しい状況が続いています。半年前の予想もかなりネガティブでしたが、現在もなおその状況は変わっておらず、これからも苦戦が続きそうです。