固定資産税据え置きと住宅ローン減税の拡充!2021年度住宅・不動産関連の税改正について

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なぜ税制度改正が行われるのかと与党税改正大綱の位置づけ

 2021年(令和3年)度の与党による税制改正大綱が決定され、公表されました。
 この税制改正大綱をベースに、財務省と総務省が「政府の税制改正大綱」と「地方税制改正案の概要」を取りまとめます。この後、閣議決定→国会での審議と採択(改正する項目しない項目を選択)→国会での可決成立→公布→4月1日から施行 という流れです。
本来は、今述べたような流れを経て改正されるわけですが、たまに採択されない項目もありますが、概ね与党の案がそのまま実施されるため、12月半ばに発表される「与党による税改正大綱」に注目が集まるわけです。(そのため、次章以降はすべて採択されたものとして執筆)
 

 税制度改正は、社会の状況を鑑みて、毎年多かれ少なかれ改正されます。誰(個人・法人)から、どのような形式で(間接税・直接税)、どのくらいの税率で税金を徴収するかは、大きな政治的問題であり、社会情勢によりフレキシブな対応求められます。また、このところは税収が足りず、多額の国債が発行されていますが、国家予算は基本的に税により賄われます。つまり、国の財政状況にも税制度は関係してくるというわけです。こうしたことが、毎年制改正が行われる大きな理由といえるでしょう。
 

 ここからは、土地活用に関心のある方向けに、「不動産・住宅・土地活用」に関連した2021年の税改正についてお伝えします。
 

固定資産税の据え置き

 メディアも大きく取り上げていましたが、2021年度の土地に係る固定資産税が据え置きとなります。
 この負担軽減処置は、新型コロナウイルスの影響により、経済状況の悪化が深刻となっています。、企業の経営悪化及び家計の所得環境が悪化していると想定される中で、固定資産税の負担が増えると、新型コロナウイルスの影響がおさまった後の経済回復に悪影響が出る可能性があるためです。

 
 国土交通省の「令和3年税制改正概要」によると、「土地に係る固定資産税について、現行の負担調整措置等を3年間延長するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ令和3年度は、評価替えを行った結果、課税額が上昇する全ての土地について、令和2年度税額に据置。」とあります。

 
 通常、土地の固定資産税は、3年ごとに評価額の見直しが行われます。本来、2021年(令和3年)度からの3年間は、2020年1月の地価公示に基づいて課税されることになっていました。近年地価が上昇していたため、2021年度の固定資産税は多くの地点で固定資産税が増加する見込みでした。しかし。2021年度は場合によって負担軽減措置が取られることになりました。住宅地や商業地や工業地、農地など、すべての土地です。
 

 具体的には、近年の地価上昇に伴って2020年1月の地価公示に基づく課税額が、2020年度を上回る場合、2021年度の税額は据え置きになり、地価の下落によって課税額が減る場合はそのまま課税額を引き下げが行われることになりました。
 

住宅ローン減税について

 消費税10%への増税に伴う反動減を減らすために、住宅ローン減税は、それまでの10年から13年に延長されました。この、住宅ローン減税が通常より3年長く適用される特例措置は、2020年12月末まででしたが、これが延長されます。注文住宅の契約は 令和3年9月末分まで、分譲住宅は 令和3年11月分契約まで延長されます。入居期限は令和4年(2022年)12月末まで延長されます。
 

また、これまで50㎡以上の床面積の物件がローン減税の対象でしたが、40㎡以上に緩和されます。しかし、この40~50㎡の物件については、(投資用マンションが多く含まれることから、富裕層による投資物件での適用を排除する意味合いが強いと思われます)世帯の所得制限3000万円以下から1000万円以下に引き下げられ、厳しくなります。
 さらに、住宅取得等の資金に使うための贈与にともなう贈与税の非課税措置(最大1500万円)も現行のまま延長されます。
 このように、住宅取得や不動産を所有すると必ず負担する税の軽減(あるいは軽減措置の延長)が決まりました。その他の国土交通省関連の税改正については、下記をご覧ください。
https://www.mlit.go.jp/page/content/001377449.pdf

 
最後に、税のしくみは、個人(法人)により、異なりますので、詳細は専門家である税理士等にご相談ください。