サブリース契約は、多くの賃貸住宅経営の行うオーナー様に取って有益なサービスです。しかし、サブリース契約におけるトラブルは、以前から頻発していることも事実です。こうした背景から、政府・国土交通省は、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年6月公布)」(賃貸管理業法:通称サブリース新法)を制定しました。それに基づき、「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」が10月16日に策定、公表されました。この新しい法案の施行日は12月15日と、だいぶ期日が近づきました。
この法律は、「サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化」と、「賃貸住宅管理業の登録制度の創設」を2本柱として成立しました。このうちサブリース業者と所有者との間の「賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置」の施行日が2020年12月15日となっています。一方の登録制度の規定については、来年6月中旬に施行される見込みです。
そこで、この法律の重要なポイントをいくつか整理していきましょう。
「賃貸管理業法」創設の背景
国土交通省では、「賃貸管理業法」創設の背景として以下のように述べています。
「賃貸住宅は、単身世帯の増加等を背景に、我が国の生活の基盤としての重要性が一層増大しているところですが、賃貸住宅の管理については、オーナーの高齢化等により、管理業者に委託するケースが増えているところです。しかしながら、管理業務の実施を巡り、管理業者とオーナーあるいは入居者との間でトラブルが増加しており、特にサブリース業者については、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し社会問題となっていることから、対応が喫緊の課題となっています。(国土交通省HPより引用)」
近年「サブリースに関する、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブル」が社会問題化したことも、本法律創設の大きな要因という事です。
賃貸住宅管理業法案で具体的に何が変わるのか?
今まで、賃貸住宅管理業務は、法律等に規定されていなかったため、宅建業のように「業」として国土交通省への登録の必要性はなく、誰でも行うことができました。本法律が施行されると、国土交通省(国土交通大臣)への登録が必須となり、一定の業務水準が求められ、業務水準を確保した優良な事業者のみが業を行うことになります。
なお、対象となるのは、賃貸住宅のみで、事業用の事務所や店舗は対象外です。また、管理戸数が一定規模以上(省令で定める管理戸数の規模は「200戸」と言われています。)の業者が対象となります。つまり、一般的な規模の個人オーナーなどは対象外となりますが、登録することは可能です。登録費用は9万円で、5年毎に更新が必要となるようです。
賃貸住宅管理業に求められる一定水準の管理業務とは?
賃貸管理業に求められる義務は主に以下の4点です。
① 業務管理者の配置
事務所毎に、賃貸住宅管理の知識・経験等を有する者を配置
※業務管理者については、現時点で特定の資格など詳細は決定していませんが、「賃貸住宅管理業務において、必要な知識及び能力を有するもの」とされており、国の定める講習を経て、業務管理者になります。現在の賃貸業務管理主任者が該当すると思われます。
② 管理受託契約締結前の重要事項の説明
具体的な管理業務の内容・実施方法等について書面を交付して説明
③ 財産の分別管理
管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理
④ 定期報告
業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告
12月15日から施行されるサブリース規定
本法律内にある「サブリース規定」は、「特定賃貸借契約」(マスターリース契約)について、契約締結の他、誇大広告・不当勧誘として禁止される具体例を明確化しました。また、特定賃貸借契約締結前の重要事項説明と重説書交付義務なども定められています。なお、違反者には業務停止や罰則という厳しい規定を設けられています。
この規定について、37ページにもわたるガイドラインが作成され、サブリース契約において禁止されている「誇大広告」「不当勧誘」の説明と具体例を明確にしています。
「家賃保証」「空室保証」などとうたう文言には、「家賃の見直し」や「減額可能性があること」と明記すること。また、「サブリース契約の解除の可能性があること」ときちんと明示すること、などが例としてあげられています。
詳細は、https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001368270.pdf からダウンロードしてください。