コロナショックで不動産投資家のマインドは変わったのか?

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沖縄における不動産市況は、本土資本・海外資本などの投資家の影響を強く受けます。その結果、沖縄の不動産市況と、極めて似た動きをするのが(逆のいい方が正しいかもしれませんが)東京(首都圏)の不動産市況です。

新型コロナウイルスの影響により、3月下旬くらいから経済活動の自粛、4月に緊急事態宣言が出されると実質的に営業活動をストップしている不動産・建築建設関連企業が大半となりました。緊急事態宣言は5月半ば以降に全国で解除されましたが、この自粛期間の影響は、社会的にも市況的にも今後確実に出てくるものと思われます。

冒頭に述べましたように、沖縄県の不動産市況は、ホテルや商業施設はもとより、マンション等実需住宅においても、国内外の投資家の影響を受けます。そのため、ここでは現状の不動産投資のマインドについて見てみましょう。

まずは、さきごろ発表された日本不動産研究所が半期に一度行っている「不動産投資家調査」2020年4月時点の結果をみます。
新型コロナウィルスが不動産投資家のマインドにどのように影響を与えているのか、それはプロパティごとに異なる結果となっています。
 

ホテルの影響は大きい

影響が最も高かったのはホテルで、期待利回りは東京や大阪だけではなく、すべてのエリアで0.1~0.2ポイント上昇しました。
以下、宿泊特化型ホテル期待利回りの推移です。

コロナショックで不動産投資家のマインドは変わったのか?|資産活用総研 大鏡建設

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(一般財団法人日本不動産研究所「不動産投資家調査」より。以下同様)
インバウンドや観光色がより色濃い京都、大阪、那覇では0.2ポイントの上昇となっています。

宿泊特化型ホテル用地は、立地や土地用途の視点でみると分かりやすいと思いますが、分譲マンションや大きめの賃貸住宅とかぶることが多くなります。近年、宿泊特化型ホテルは日本各地の大都市に加えて観光地で多く建てられました。これらのデベロッパーは価格面で強気の用地仕入れを行っていましたので、それにつられて、該当エリアでは地価上昇がみられました。

 

オフィスビルは、様子見状況

■Aクラスビル(オフィスビル)の期待利回り
コロナショックで不動産投資家のマインドは変わったのか?|資産活用総研 大鏡建設
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賃料・空室率ともに好調が続いているオフィスですが、2020年4月現在、さらに期待利回りが下落しているエリアもあります。

 

安定感のあるレジデンス

コロナショックで不動産投資家のマインドは変わったのか?|資産活用総研 大鏡建設
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横浜、千葉、大阪は前回比で0.1ポイント低下していますが、それ以外は横ばいとなっています。2008年9月に起きたリーマンショック時に目を向けると、その後東京(城南)の期待利回りは一気に上昇しましたが、2010年10月調査からはまた下落傾向に戻っています。
先ほどのホテルやオフィスと比較すると、賃貸住宅が早期に回復しているのが分かります。オフィスやホテルよりも、人々が生活していく上で欠かすことの出来ない「住宅」不動産は不況時でも比較的安定しており、たとえ悪化しても長くは続かない状況が見えて来ます。

 

投資家は、コロナショックをどう見ているか

今回の調査結果では特別項目として、新型コロナウィルスの感染拡大により影響を問うアンケートの結果が掲載されています。

■今後1年間の市場動向を念頭に、新型コロナウィルスの感染拡大が各アセットに及ぼす影響について(有効回答129社)
コロナショックで不動産投資家のマインドは変わったのか?|資産活用総研 大鏡建設

不動産投資家は、「新型コロナウィルスの感染拡大によって今後1年間の市場動向においてネガティブな影響があまりない(全くないも含めて)」と考えている割合が、物流施設で88.2%と最も高く、次いで住宅(ワンルーム等)では83.4%と高い割合でした。ここでも住宅は安定的であると評価されているようです。