不動産投資を行う上で、賃貸需要を知ることは欠かせません。今回は、人口移動をキーワードに検討してみましょう。
歯止めがかからない一極集中
総務省は1月31日、2019年の人口移動報告を公表しました。外国人を含む移動者は、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)おいて、14万8,783人の転入超過となりました。これは前年より8,915人多く、超過数の増加は3年連続。東京圏の転入超過は1996年から24年間続いています。しかし、東京圏への一極集中が加速している一方で、都道府県別では39道府県で転出者数が転入者数より上回っており、政府が進める地方創生へとは程遠い結果となりました。
■都道府県別 転入超過数(日本人移動者)
このグラフを見ると、東京都への転入超過数の多さが一目瞭然です。
沖縄県の転入・転出は?
沖縄県の結果を詳しく見てみます
沖縄県へ県外から転入してきた方は年間で、27086人で、逆に転出者は28020人となりました。超過分はマイナス934人と転出超過となっています。
ちなみに、県内移動者は45706人となっています。
ここからは、東京都への人口移動を細かく見てみます。
東京都への転入者 20代が半数を占める
■年齢階級別 東京都への転入者数
東京都への転入者を年齢別に見ると圧倒的に20~34歳の若年層が多いのが分かります。この層の全体数に対する転入者数割合を都道府県別に見た際の平均値が50.2%であるのに対し、東京都は62.2%と圧倒的に多いのが分かります。こちらのデータは住民票に基づいているため、住民票を移していないケースを考えると、若者の数の割合はもう少し大きくなるかもしれません。
東京への一極集中は「職」がキーワードの一つ
ここで考えられるのは、若者がどうして東京に来るかということです。総務省は「若い世代が進学や就職で『東京圏』に転入し、そのまま定住する傾向が続いている」と分析しています。
実際に東京都の有効求人倍率と転入者数を比較すると以下のようなグラフとなりました。
■有効求人倍率と転入者数の推移
これを見ると似たような動きをしているのが分かります。仕事を求めて東京に移住する構図がデータからも見られました。
人口動態から賃貸ニーズを探る
今回は住民基本台帳移動報告から、東京の求心力の強さがを改めて分かりました。他のエリアから移動してくるにあたっては、近隣の都道府県からの移動を除けば、多くの場合で移動直後は賃貸住宅に住むケースが多いと考えられます。つまり、移動者のトレンドは不動産投資における重要な指標のひとつと言えそうです。