沖縄県における持ち家比率について

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最新の持ち家比率について

 居住する世帯のある家について所有しているかどうか、その割合が持ち家比率です。持ち家の数は、3280万2000戸で前回調査(2013年)に比べて、64万戸増えました。持ち家比率は、61.2%で前回調査に比べて0.5%のマイナスとなりました。
 持ち家比率はこの40年間、概ね60%前後で推移しています。2000年以降は、全て61%台で、ほとんど横ばい状況が続いています。

持ち家比率を左右する要因は何か

 持ち家比率を左右する要因として考えられるものを列挙してみます。
 例えば、住宅価格(土地・建物)が下がると、購入する方が増えて比率は上がりそうな気がします。しかし、住宅価格が急上昇したバブル期に持ち家比率は大きく減っていませんし、逆に景気が大きく悪化し不動産価格が下がったリーマンショック後に増えてもいません。
また、平均年収が増えたり減ったりするのも、顕著な影響はみられません。以前あるテレビの報道番組で、「非正規雇用が増えてくると、雇用の安定性がなくなるため、自宅購入者が減りますすね」と、キャスターが言っていました。ご承知のように、ここ20年くらい非正規雇用者は、かなり増えていますが、持ち家比率に大きな変化はありません。これらはあくまでも、イメージです。
 価格や雇用といった現実的なことよりも、地域、ムードといった社会的な要因の方がはるかに大きいようです。例えば、北陸地方の各県では、今回の調査でも8割前後の持ち家比率を維持しています。これは地域性と言っていいでしょう。あるいは、後述しますが、この20年くらい、30代~50代の持ち家比率は減少傾向にあります。「持ち家じゃなくても、いいんじゃない?」という風潮・ムードの影響が大きいと思われます。

沖縄県の持ち家比率の推移

沖縄県における持ち家比率について|資産活用総研 大鏡建設
(図1)

図1は、1988年以降の沖縄県における持ち家比率の推移を示したものです。
この25年一貫して低下していることが分かります。ジワジワ少しずつといったイメージです。最新の2018年データでは、44.4%となり、ついに日本一持ち家比率の低い県となりました。

沖縄県における持ち家比率について|資産活用総研 大鏡建設
(図2)

図2は都道府県別の持ち家比率の1998年と2018年を比較したものです。この20年間で、住まい方にどれくらいの変化があったのかがわかります。

 沖縄県は1998年には55.3%あったのが2018年には44.4%となり10.9ポイント低下しています。この低下幅は、ダントツのトップとなっています。ちなみに、全国的にみると、60%ちょっとで、ほとんど横ばいです。

さらに、那覇市内に限ってみると、もっと持ち家比率は低くなります。

沖縄県における持ち家比率について|資産活用総研 大鏡建設

 この数字は市区町村別にみても、とても低い数字です。

 沖縄県における持ち家比率が低い理由はなんでしょうか?

まず、賃貸住宅に対する地域性、つまり抵抗感がないエリアであること、所得格差があること、県民所得が低いこと、中心地や特定エリア(基地周辺、リゾート地)職が集中していること、等が考えられます。

 この傾向は、まだまだ続くと思います。あと10年もすれば、40%を切るかもしれません。