賃貸住宅のリフォームと経費算入について

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 賃貸住宅リフォームの市場は、リフォーム市場全体の概ね20%近くを占めています。
賃貸住宅のリフォームは、チラシや広告などほとんどない目立たない分野ですが、1.3~1.5兆円近くにもなる巨大市場です。

賃貸住宅のリフォームの分類:専有部と共用部、修繕の大小

 賃貸住宅のリフォームと一口に言っても、

1) 入居者が入れ替わるたびに発生する修繕(営繕、手直し) 
→入れ替わるたび

2) 水廻り、エアコン、給湯器など、耐用年数があるものの取り換え
  →概ね15年~20年ごと

 以上が専有部内(室内)に関するものです。

さらに、共用部では、

3) 廊下・エントランス等の照明、植栽の手入れ

4) 屋根、躯体、外壁などの大規模修繕
  →概ね 20年から~30年めど

このように、主に4パターンあります。

修繕の費用と経費について

これら4つの内、1)の大半と3)の一部はそれほど大きな金額にはなりませんが、2)、4)は、かなり大きな金額となります。

 20万円以下の工事(取りかえ)や3年未満の周期的にやりかえるものについては、経費として一括で落とすことができます。また、2)、4)等の建物資産になるものに掛かったもの(資本的支出)については、判断が異なります。
これらを年間の収入から、経費として落とすことができれば、大幅な節税となりますのでお得です。積極的に税理士など専門家に聞くといいと思います。

リノベーションについて:経年劣化と地域の社会的変化に対応するために

さきに述べた1)~4)については修繕に該当するものですが、それ以外にも、部屋の間取りを変えるといったリノベーションも賃貸住宅リフォームの1種です。

 築25年を超えると、周辺環境に変化が出てくることがあります。高齢化が進んだ、学生が減った、・・といった地域の社会的な変化です。
 そもそも築25年を超えてくると、大都市の人気エリアでもないと、経年劣化に伴い、物件のネガティブイメージから、どうしても空室が出やすくなります。そんな状況に加えて、地域の社会的な変化が起こると、大きな空室リスク、賃料下落リスクになります。
 
 こうした時に、有効なのが間取り変更などのリノベーションを行うことです。

立地地域の社会的な変化で少子化が進んだことにより、2LDK,3LDKといったファミリータイプの需要が減ってきているとすると、1LDK,1DK等のカップル向きの部屋にリノベーションをする。あるいは、大学が移転して、学生が減ったために、ワンルームニーズが減ったことに対応するために、ワンルームタイプを、1LDKや1DKタイプに広げる、といった事例も見られます。

 
 リノベーションには、かなりの費用がかかりますので、借り入れを行う等といった大きな決断が必要ですが、社会的な変化に伴い、求められる住宅も変化していくことは仕方がないことです。

 リノベーションのような大規模な工事を行う際には、慎重に今後の地域の住宅需要を見定めて決断を行うことが求められますが、上手く行けば賃貸住宅経営が好転する可能性が高まります。