不動産投資における利回りの思考法

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 賃貸住宅を建てて賃貸住宅経営を始める方の目的は、オーナーによって異なると思いますが、大まかには、次に3つに分類されると思います。

1) 遊休土地の有効活用として
2) 節税のため
3) 投資収益獲得のため(あるいは、私的な年金のため)

 1)2)は似た理由で、「使っていない土地をそのままにしておくと、勿体ないし、固定資産税がかかるだけだから、賃貸住宅を建てよう」という思い。

また、2)では、相続に際して、居住用住宅の特例や各種の優遇税制を使うことで、節税したいという思いのようです。かつては、賃貸住宅を建てる方の圧倒的多数は、こうした方々でした。

 しかし、最近では、土地を持っていないけれど、土地を購入して、賃貸住宅を1棟建てて、賃貸住宅経営を行いたいという方も、ますます増えているようです。それが、3)です。

こうした、純粋な投資目的の賃貸住宅投資を行う際に、一番気になるのは利回りでしよう。本稿とは関係ありませんが、ワンルームマンション投資などにおいては、「単純に」、利回りだけで判断する人も多いようです。

では、利回りについて考えてみましょう。

「利回り」は、一般的には、【想定満室賃料収入から経費などを引いた純収益(年)÷物件価格】 で計算します。

この中で純収益は、NOI(Net Operating Income )と言います。

どこまでを(何を)経費としてみるかについては、多少異なります。たいていは、管理費、修繕費、固定資産税の3つはたいていここでいう経費に入れているようです。(証券化不動産などにおいては、精緻に計算する純収益を計算し、経費の項目には他にも損害保険代や空室損失なども加味しますが、ここでは一般の投資家が考慮している費用項目にとどめておきます。)
このNOIを物件価格で割って、NOI利回りがいくであるか?を投資の基準にしている不動産投資家は、多くいます。

しかし、単純に【想定満室賃料収入(年)÷物件価格】 で計算する「表面利回り」で算出することもあります。

投資する方が「どれくらいの利回りの物件なら購入しようと思うか」つまり、求める「期待利回り」は、物件種別(木造かRCか)、場所(立地)などにより異なります。

当然、立地条件が良く、(中御物件の場合)築年数の浅いものは、利回りが低くなります。

利回りはリスクの裏返しですので、リスクが少ないものは、リターンが少ないということになります(利回りが低い)。

ここでいう、不動産投資におけるリスクが低いとは、賃料の値下がり可能性が低い、空室可能性が低いということです。さらに付け加えるなら、資産価値の下落可能性が低いということにも、つながります。

また、投資する時期でも、「期待利回り」は大きく異なります。
昨今のような不動産投資熱が活況の時期は、不動産価格が上がっていますが、それに比べて賃料はその上昇ペースは遅い(賃料の粘着性と言います)ので、「期待利回り」は低くなります。

土地+建物の価格と想定賃料から算出して利回りが高いか低いかという単純な思考ではなく、

「いまなら、この場所なら、これくらいの利回りが適正だ」という、「時点」と「立地」と「建て方」といった要素別で思考するのが、土地活用ではない自ら土地を購入して始める不動産投資では必要です。