近年賃貸住宅に住む人が増えている。
賃貸住宅は主に2種類の需要があって、
1) 一時的な住まいとしての賃貸住宅と
2) 将来所有する前のすまいとしての賃貸住宅というものだ。
1の一時的なものとしては、進学や就職の際、あるいは転勤といったイベントがありそのために賃貸住宅を借りる。こちらは、景気に波を受けるが、近年は増えている。県内においては、日本が好景気の時は、進学、就職等で県外へ転出する方が増えるため、この要因での賃貸需要はそれほど増えない。
2の需要は、結婚間もない夫婦が、とりあえず賃貸住宅に暮らして、収入が増えれば、自己所有の住まいを購入する前提で賃貸住宅を借りるというパターンだ。
しかし、2のイメージの賃貸住宅を借りている方が、収入が増えてもそのまま借り続けるというパターンが増えている。
そこにはいくつかの要因がある。
まずは、収入が就職してからの年齢が上がっても給与が右肩上がりに増えないという事情がある。非正規雇用の増加とともに大企業において個人業績連動給が連動されているからだ。現に数年前からアベノミクスで景気回復と言われているが、給与はほとんど増えていない。
また、地域コミニュティーの難しさも要因だろう。マンションの上下階左右部屋との騒音問題等トラブルは増える一方だ。
そして、何よりも大きな要因は、賃貸住宅の質の向上にある。近年新築される賃貸住宅は目覚ましく進化している。水回りなどの住宅設備はもちろん、防音、断熱、そして内装のグレードなど、分譲マンションと遜色ない物件も多い。
また、沖縄県においては、全国平均に比べ親族世帯(夫婦と子供で構成される世帯)の賃貸住宅に住む人の割合は高い。
全国平均では、約25%弱の親族世帯が賃貸住宅に住んでいるが、本県では50%を超えている。
全世帯平均の持ち家比率が低い東京23区では親族世帯の賃貸住宅居住者は4割弱だ。
また、単独世帯の賃貸住宅居住者率も76%となっており、日本有数の賃貸需要がある県と言えよう。