人口は国勢調査確定値で「微減」に
総務省が2026年9月29日に公表した2025年国勢調査の人口等基本集計(確定値)によれば、沖縄県の人口は146万6,548人で、2020年から932人減少(0.1%減)しました。2015~2020年は2.4%増と東京都に次ぐ伸びでしたので、増加から減少への転換です。今回、沖縄を含む7県が増加から減少に転じており、「沖縄は人口が増え続ける県」という前提は見直しが必要になります。
ただし年齢構成は全国的にみれば依然として若く、15歳未満人口の割合は15.3%と全国で最も高く、65歳以上人口の割合は24.5%と東京都に次いで低い水準です。
世帯数の伸びは全国1位
賃貸住宅市場にとってより重要なのは世帯の動向です。県の一般世帯数は65万3,611世帯で、2020年から4万317世帯、6.6%増加しました。増加率は東京都(5.0%)を上回り全国1位です。1世帯当たり人員は2.33人から2.18人へ0.15人縮小し、全国平均の縮小幅(0.12人)を上回りました。人口が減っても世帯が分かれれば住宅は必要になる、という構図が、沖縄では鮮明に表れています。
増えた世帯の約6割は持ち家以外
住宅の所有関係をみると、沖縄県の持ち家率は46.1%で、東京都(44.9%)に次いで全国で2番目に低い水準です。共同住宅に住む世帯の割合も58.0%と、東京都、大阪府に次ぐ3番目の高さです。住宅に住む一般世帯は5年間で3万7,184世帯増えましたが、このうち持ち家の増加は1万5,111世帯にとどまり、約6割は借家などの持ち家以外でした。世帯の増加がそのまま賃貸需要に結びつきやすい構造であることが、確定値からも裏付けられた形です。
供給は図化傾向、賃料は選別の段階へ
こうした需要を背景に、供給も増えています。国土交通省の建築着工統計によれば、2025年度の全国の貸家着工は前年度比13.5%減と大きく落ち込みましたが、沖縄県の貸家着工は5,536戸と前年度をやや上回り、着工総数に占める貸家の割合は53%台に達しました。2026年1~6月の県内の貸家着工は3,280戸と、前年同期を6割以上上回っています。
一方で賃料には選別の兆しがみえます。おきぎん経済研究所の調査では、2025年度は新築・中古の多くのタイプで平均賃料が上昇したものの、中古の2K~2LDKは前年並みにとどまり、単身向けには供給過剰との指摘も出ています。本島北部では、ジャングリア沖縄の開業を見込んだ建築需要が一巡し、名護市の貸家着工は前年度比55.4%減となりました。
エリアと間取りの差が広がる
市町村別にみると、人口増加率の全国上位には宜野座村(7.6%増)、八重瀬町(5.6%増)が入る一方、離島の渡名喜村は32.7%減と全国で2番目に高い減少率でした。また、15歳未満人口の割合が高い全国上位20市町村には、八重瀬町、南風原町、豊見城市、中城村、南城市など県内の11市町村が並んでいます。本島中南部では子育て世帯の住宅需要が厚く、単身向けの供給過剰が指摘されるなかで、ファミリー向け賃貸の不足感はむしろ強まるとみています。
外国人人口は3万2,187人で、県人口に占める割合は2.2%と全国平均(3.1%)を下回ります。住民基本台帳では2026年1月1日時点で前年比14.4%増と伸びており、今後の上積み余地は大きいと考えられます。
今後の見通し
世帯数の増加と低い持ち家率という構造要因から、沖縄の賃貸住宅需要は当面底堅く推移すると思われます。ただし人口が減少局面に入った以上、世帯数の増加ペースは今後徐々に鈍化していくでしょう。供給側のコストも上がり続けています。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げ、市場では年内から来年にかけての追加利上げも意識されています。集合住宅(鉄筋コンクリート造)の建築費指数は2026年6月時点で145.6(2015年=100)、令和8年地価公示では県内住宅地が6.4%上昇と全国2位の伸びでした。土地代、建築費、調達金利がそろって上がる局面では、表面利回りの低下は避けられません。
これからは「建てれば満室になる」市場ではありません。世帯が増えている中南部の生活圏で、ファミリー層や外国人世帯、高齢単身世帯の受け皿となる間取りを選び、現在の建築費と金利水準で収支を試算し直すことが、投資判断の前提になると考えます。
参考資料
・総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要」(2026年9月29日)
・総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2026年1月1日現在)
・国土交通省「建築着工統計調査」、沖縄県「住宅着工統計」
・おきぎん経済研究所「2025年度 県内賃料動向調査」(2026年8月)
・建設物価調査会「建築費指数」(2026年6月)
・国土交通省「令和8年地価公示」

