2025年国勢調査からみる那覇市・沖縄県南部の賃貸住宅市場―人口が減る那覇、子育て世帯が集まる南部のベッドタウン―

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県全体は人口微減、世帯数は全国1位の伸び

 総務省が2026年9月29日に公表した2025年国勢調査の確定値によれば、沖縄県の人口は146万6,548人と2020年から0.1%減少し、増加から減少に転じました。一方で一般世帯数は6.6%増と全国で最も高い伸びです。持ち家率は46.1%と東京都に次いで低く、世帯の増加がそのまま賃貸需要につながりやすい構造は変わっていません。この動きを那覇市を含む南部エリアに絞ってみると、那覇市と周辺市町村で対照的な姿が浮かび上がります。

那覇市:人口は減り、世帯は増える

 沖縄県が公表した市町村別の速報値では、那覇市の人口は31万1,073人で、2020年から6,552人(2.1%)減少しました。県内で最も大きな減少数です。ところが世帯数は15万1,259世帯と6,904世帯(4.8%)増え、増加数は県内最多でした。1世帯当たり人員は2.20人から約2.06人へ縮小しています。人口の流出が続く一方で、単身や夫婦のみといった小さな世帯が増えているのが那覇市の姿といえるでしょう。賃貸需要の量は維持されても、その中身は単身・少人数向けに偏っていくとみられます。

周辺市町村:子育て世帯の受け皿に

 那覇市を除く南部圏域の人口は27万5,597人で1.2%増加し、中部圏域(0.6%増)を上回りました。けん引しているのは那覇市に隣接するベッドタウンです。人口増加率は八重瀬町が5.6%、南城市が3.0%、南風原町が2.7%、豊見城市が1.6%で、この4市町だけで人口は5,184人、世帯は4,774世帯増えました。世帯増加率も南風原町と八重瀬町が8.1%、南城市が7.6%と、県平均を上回っています。

 確定値では、年齢構成の若さも際立ちます。15歳未満人口の割合が高い全国上位20市町村に、八重瀬町(19.5%、全国3位)、南風原町(18.8%)、豊見城市(17.9%)、南城市(17.4%)、与那原町(17.2%)、糸満市(16.8%)と南部の6市町が入りました。那覇市の周辺部が、子育て世帯の住まいの受け皿になっている構図がうかがえます。
ただし、南部がすべて伸びているわけではありません。同じ南部でも糸満市は人口0.6%減、与那原町は2.2%減で、与那原町の世帯数は0.5%増とほぼ横ばいでした。幹線道路へのアクセスや宅地供給の余地によって、同じ南部のなかでも明暗が分かれ始めています。

地価とコストが選別を迫る

 令和8年地価公示では、那覇市の住宅地が5.3%の上昇だったのに対し、南風原町は9.3%上昇と、県庁所在地より周辺の伸びが大きくなっています。日本銀行は2026年9月18日に政策金利を1.25%へ引き上げ、建築費も高止まりが続いています。南部での地価上昇は需要の強さを映すものですが、同時に賃貸住宅の利回りを圧迫する要因にもなっています。

今後の見通し

 那覇市では、世帯の小規模化によって単身・少人数向けの需要は底堅く推移すると思われます。ただし県全体で単身向けの供給過剰が指摘されるなか、立地や築年数、設備による選別は一段と進むでしょう。一方、南風原町、八重瀬町、豊見城市、南城市では、ファミリー向け賃貸の不足感が当面続くとみています。もっとも、地価の上昇が最も急なのもこれらの地域です。
南部エリアの賃貸住宅投資は、「那覇市は単身・少人数向けの質で勝負し、周辺市町村はファミリー向けの量を補う」という役割分担を意識することが重要になります。そのうえで、現在の土地代、建築費、金利水準で収支を試算し直してから判断されることをお勧めします。