毎年7月になると「路線価」が話題になりますが、実際にどう使うものなのか、路線価図をどう読むのかまでご存じの方は、意外に少ないのではないでしょうか。ここでは、路線価の基本的な位置づけと活用場面、そして路線価図の見方について整理します。
路線価とは ~「一物四価」の中の一つ~
土地の価格は「一物四価」といわれ、同じ土地でも評価の目的によって価格が変わります。四つとは、公示地価(地価公示)、基準地価(都道府県地価調査)、固定資産税評価額、そして路線価です。実際の取引価格(実勢価格)はこれらとも異なることが多く、「一物五価」と呼ばれることもあります。
このうち路線価は、正式には「相続税路線価」といい、相続税や贈与税を計算する際の土地評価の基準となる価格です。税を扱う国税庁が公表しており、「路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額」であることから、この名前がついています。価格時点は毎年1月1日で、公表はその年の7月1日です。水準は、同じ1月1日を価格時点とする公示地価等の80%程度が目安とされています。相続税評価に一定の安全率を見込むという意味合いです。
路線価は、どのように活用されるのか
第一の用途は、相続税・贈与税の申告における土地の評価です。相続や贈与があった年分の路線価を用いる点に注意が必要で、たとえば2026年中に発生した相続では、2026年(令和8年)分の路線価を使います。
第二に、借地権や貸宅地(底地)、貸家建付地の評価にも用いられます。後述する借地権割合と組み合わせることで、権利関係のある土地の評価額を算定できます。
第三に、実務では「時価のおおよその目安」を知る手がかりとしても使われます。路線価は公示地価の約80%の水準ですので、路線価を0.8で割り戻せば、公示地価に相当する水準を概算できます。あくまで目安であり実勢価格とは一致しませんが、手元の土地の資産価値を大まかにつかむには便利です。
路線価図の見方
路線価は、国税庁ホームページの「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で、誰でも確認できます。路線価図では、道路上に「215D」といった数字とアルファベットの組み合わせが記されています。読み取るポイントは、次の三つです。
一つ目は数字で、これが路線価そのものです。単位は千円ですので、「215」であれば1平方メートル当たり215,000円を意味します。二つ目は右隣のアルファベットで、A~Gの記号が借地権割合を示します。Aが90%、以下10%刻みで、Bは80%、Cは70%、Dは60%、・・・Gは30%です。自宅など自用地の評価には使いませんが、借地権や底地の評価では必須の情報となります。なお記号がない場合は、借地権の取引慣行がないと認められる地域であることを示します。
三つ目は、数字を囲む図形記号で、これが地区区分を表します。ビル街地区、高度商業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅地区、普通住宅地区などの別で、後述する補正率が地区区分ごとに異なるため、正確な評価には欠かせません。図形の「黒塗り」や「斜線」は、その路線価がどちら側に適用されるかを示しており、白抜き(無印)であれば路線の全域に適用されます。凡例は路線価図の上部の説明部分に掲載されています。
評価額の計算 ~路線価方式と倍率方式~
路線価が定められている地域では「路線価方式」で評価します。基本は、路線価×地積(面積)です。ただし土地の形状は一様ではありませんので、奥行距離、間口の狭さ、不整形の度合いといった条件に応じた画地調整率を乗じて補正します。角地であれば側方路線影響加算率を加える、といった調整も行います。一方、路線価が定められていない地域では「倍率方式」を用い、固定資産税評価額(3年ごとに評価替え)に、地域ごとに定められた評価倍率を掛けて算出します。
活用にあたっての注意点
路線価図を見れば概算はつかめますが、実際の申告となると話は別です。補正率の適用は複雑で、小規模宅地等の特例など税負担を軽減する制度の検討も必要になります。また、路線価の設定されていない道路のみに接する宅地では、「特定路線価」の設定を申し出る必要が生じる場合もあります。路線価はあくまで課税のための評価額であり、実勢価格とは異なる点も、押さえておきたいところです。まずはご自身で路線価図を確認し、そのうえで具体的なことは、税理士など専門家にご相談されることをお勧めします。
参考リンク
国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
https://www.rosenka.nta.go.jp/
国税庁「路線価図の説明」
https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_prcf.htm
国税庁「評価倍率表(一般の土地等用)の説明」
https://www.rosenka.nta.go.jp/docs/ref_rtof.htm

