7月1日に26年分の路線価が国税庁から公表されました。
土地価格(=地価)は「一物四価」とよばれるように、同じ土地でも評価方法や評価の目的により価格が変わります。4つの評価とは、公示地価(地価公示)、基準地価(都道府県地価調査)、固定資産税評価額、そして今回公表された路線価(相続税評価額)です。さらに、実際の取引価格(実勢価格)はこれらと異なることも多く、そのため「一物五価」とも言われます。
路線価は、相続税や贈与税の税額の算定に用いられる地価ですが、「主要な道路(路線)に面する土地の1㎡あたりの価格」ということで「路線価」と名前がついています。価格時点は、地価公示と同じ1月1日で、毎年7月1日に公表されます。
ここでは、26年の路線価の動向について解説します。
(本文中のデータは全て国税庁より。路線価等の詳細はこちらのサイトで分かります)https://www.rosenka.nta.go.jp/
国税庁が路線価を公表
路線価は、「相続税や贈与税における土地価格の算定基準として用いられる地価」ということで、税を扱う国税庁から公表されます。
「相続税や贈与税における土地の価値算定は時価で行うこと」とされていますが、土地価格は時価での評価が難しいため、価額算定を容易にし、また公平に算定するために、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率が公表されているわけです。
26年の路線価全体俯瞰
路線価は公示地価(同じ1月1日が価格時点:3月公表)をベースに約80%が目安となります。そのため、変動率(増減率)の傾向は概ね似通うことになります。
全国約32万地点(民有地の宅地、田、畑、山林など:路線価等の評価における宅地とは、住宅地、商業地、工業地等の用途にかかわらず、建物の敷地となる土地のことを指します。)の平均変動率は、前年比プラス2.9%(前年は+2.7%、前々年は+2.3%)となりました。5年連続の上昇、また連続して上昇率拡大となり、現行の評価方式となった2010年(平成22年)以降で最大の伸び率となりました。コロナ禍以降続く不動産価格の全国的な上昇を反映した状況となっています。大都市圏の上昇はもとより、地方主要都市へも波及、そして国内外から注目を集める観光地における大幅な上昇も目立っています。なお、全国の最高路線価は41年連続で東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通り(鳩居堂前)となり、1㎡あたり5,336万円(前年比+11.0%)と過去最高額を更新しました。
47都道府県のうち36の都道府県でプラスとなっており、全国的に上昇が顕著となっています。さらに、都道府県庁所在都市の最高路線価をみれば、44都市で上昇、3都市(青森、津、鳥取)で横ばいとなり、下落した都市はありませんでした。下落都市がゼロとなったのは、バブル末期の1991年(平成3年)分以来、35年ぶりのことです。
都道府県別の状況
都道府県別の変動率でみれば、前年比で上昇した都道府県は36都道府県、横ばいが3県(富山、岐阜、香川)、マイナスは8県となりました。また変動率が、マイナスからプラスになったのは3県となりました。
地点別にみれば、上昇率のトップは長野県北安曇郡白馬村の村道和田野線で+32.7%となり、3年連続の全国1位となりました。2位は同じ長野県の野沢温泉村(+31.3%)、3位は北海道富良野市(+28.0%)と、いずれも訪日外国人に人気の高いリゾート地が上位を占めています。
表をみれば、上昇率がトップだったのは東京都で+9.4%(前年は+8.1%)、次が沖縄県で+6.6%(前年は+6.3%)、つづいて大阪府で+5.1%(前年は+4.4%)となっています。一方、それまで高い伸びだった福岡県は前年の+6.0%から+4.2%と上昇幅が縮まりました。同様に、北海道も+2.4%から+1.8%、宮城県も+4.4%から+3.3%となっています。約10年近く高い伸びを示していたこれらの地域では、上昇幅に一服感が出てきたようです。
新たにプラスとなった3県をみれば、群馬、福井、奈良と、いずれも人口減少が続く県ですが、中心市街地の再開発や観光需要の回復が進んでおり、周辺部からの流入が起こっていることが伺えます。これらの地域では賃貸住宅需要も伸びているものと思われます。なかでも奈良県は前年の▲1.0%から+0.1%へと大きく改善し、県庁所在地である奈良市の最高路線価も+12.6%と2桁の伸びとなりました。ただし、県全体の平均と県庁所在都市の動きが一致しないケースもあり、同じ県内でも二極化が進んでいる点には留意が必要です。
沖縄県の路線価の動向
沖縄県の宅地では、前年比プラス6.6%となり、12年連続の上昇となりました。全国の平均はプラス2.9%でしたので、全国平均よりも大幅に上昇し、東京都に次いで全国2番目の伸び率となっています。路線価は税務署管内ごとに公表されますが、県内6税務署管内の最高路線価はすべて上昇しました。県内の最高路線価は那覇市久茂地3丁目の国際通り(みずほ銀行那覇支店前)で、前年比+6.4%の1㎡あたり166万円となり、2002年以来25年連続で県内トップとなっています。また、ゆいレール沿線で調査対象となった17駅の駅前はすべて上昇し、変動率の平均は+6.9%、上昇率が最も高かったのは赤嶺駅の+10.7%でした。県内で変動率が最も高かったのは名護税務署管内の「名護市為又、名護バイパス」の+16.3%で、25年7月に今帰仁村で開業した大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」を背景とした店舗出店やホテル需要の高まりが要因とみられます。沖縄県の不動産市況が長期にわたり活況であることが伺えます。
路線価方式と倍率方式
実際の路線価の算定は、以下のようになりますので、相続や贈与について関係のある方は参考にしてください。
路線価が定められている地域(あるいはその周辺地域)では、「路線価方式」で評価額を算定します。計算方法は以下の通りです。
1.ベースとなるのは、評価対象地が接する路線の路線価×面積(=地積)
2.画地調整率(=評価対象地の形状、たとえば奥行距離、不整形の度合い、角地などに基づき、価額を補正する率)を掛けて補正する
また、上記以外の土地は、「倍率方式」を用いて価格評価を行います。倍率方式では、固定資産税評価額(3年ごとに評価替えが行われます)に地価事情の類似する地域ごとに定めた「評価倍率」を掛けて算出します。
路線価の上昇で納税が増える
報道では、それなりに大きく取り上げられる「路線価」ですが、多くの方々は「関係ないこと」と受け流すことでしょう。一般の方々が「路線価」に注目する場面は、相続が起こったときと思われます。
路線価の上昇は、例えば「相続税や贈与税の算定における土地の評価額が上昇する」ことです。相続や贈与で引き継いだ資産の価値が上がる事は嬉しいことですが、その分納める税額が増えます。相続が前もって分かっていれば、何らかの対応もできますが、なかなか難しいものです。多額の税金を納めることになり慌ててしまうことのないように、事前の準備をしておくべきでしょう。相続時の税効果を高める、様々な活用方法がありますので、不動産を相続する可能性のある方は、早めに大鏡建設の相続支援チームなどの専門家に相談するといいでしょう。
大鏡建設株式会社
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