25年地価公示 ~沖縄県の地価動向~

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 ここでは、3月18日に公表された地価公示より、沖縄県の地価動向について解説します。

沖縄県の地価動向、どの用途も全国上位の上昇率!

 沖縄県における標準点は21市町村189地点あり、その平均(全用途・全地点)は7.2%上昇し、12年連続の上昇となりました。

 このうち住宅地地価の上昇率は7.3%(23年は5.5%)で、都道府県別では2年連続で上昇率トップでした。住宅地は、県内の市町村単位でみれば、調査が行われた市町村すべてで上昇、また20の市町では上昇率が拡大しました。商業地は7.0%(23年は5.0%)で全国4位の上昇となっています。工業地は6.9%の上昇(全国9位)となりましたが、昨年は9.5%でしたので、上昇幅は縮まりました。過去10年以上に渡り、相当な上昇率でしたので、多少伸びが鈍化したのでしょう。住宅地・商業地は12年連続の上昇、工業地は13年連続の上昇となりました。

 住宅地の最高地点は、おもろまち3丁目にある地点で43.3万円(㎡あたり)で、上昇率のトップは宮古島の地点で23.1%の上昇(上昇率全国3位)となりました。
 商業地の最高地点は、久茂地3丁目の国際通りに面した地点で212万円(㎡あたり)で、上昇率のトップは石垣島の地点で20.5%の上昇となりました。

 宮古島の地点が上昇率上位に来るのは、もはや常連という感じで、地価上昇が長く続いています。また、とくに住宅地では那覇市を中心に中心地域の地価上昇が続き、そのため需要は(相対的に安価な)周辺地域に広がっているようです。また、供給が少ない中で県内需要が旺盛であり、加えて、県外の富裕層の移住、セカンドハウス需要などが、離島や中北部のリゾートエリアなどで、ますます旺盛となっており、このことも地価上昇に拍車をかけていると思われます。
 また、商業地では県外からの投資マネーの流入が多く、取引が活発となっており、地価上昇につながっています。

主要地域の住宅地地価動向

 住宅地地価を市町村別にみれば、県内の上位は1位石垣市が+19.4%、宮古島市が+16.0%、南風原町が+9.6%でした。那覇市は5.9%の上昇で、全国の県庁所在地の中では、3位でした。
 県南部では、価格高止まりが続く那覇市では、今年も大きく上昇しました。需要が旺盛な中で供給が極めて少なく、需要の行き先が周辺地域に向かっています。南風原町では、豊見城市に続く那覇ベットタウンとして人口増加が続いており、住宅地地価は9.6%の上昇、昨年は7.7%でしたので上昇幅が拡大、連続して大きな上昇となっています。

 中部エリアでは、開発が進み、アクセスが向上している宜野湾市の住宅地で8.2%上昇しました。昨年は6.0%の上昇でしたので上昇幅が拡大したことになります。うるま市では8.1%の上昇、昨年は6.0%でしたので、こちらも上昇幅が拡大しました。北中城村では、8.5%の上昇、昨年は5.3%でしたので、上昇幅が拡大しました。利便性の向上、アクセスの向上などから人口増加率が高く、住宅需要を押し上げています。

 北部のメイン地域である名護市でも2.7%の上昇、昨年は1.3%でしたので、こちらも上昇幅が拡大となりました。名護市街地の住宅市場は、市内の再開発が進んでいること、またテーマパーク開園に伴い、市街地において賃貸住宅の需要が増えていることから、建築が進んでいることも上昇要因と思われます。

上昇続く離島地域

 県内における地価上昇率1位の石垣市では上昇率は19.4%(昨年は12.1%)となり、前年に比べて7ポイント上昇しています。石垣島では、このあとも開発予定があり、かなりの上昇が期待できそうです。石垣市の住宅地の全地点で上昇しています。

 宮古島市の住宅地は16.0%の上昇となり昨年は12.3%でしたので、上昇幅が拡大しました。しばらく続いている急激な地価上昇のため、「そろそろ感」があってもよさそうですが、依然として需要が底堅く、中心地域はすでに地価が大幅に上昇をしているため、周辺部に目が向いており、相場よりかなり高い値段で取引されているようです。

 沖縄県内では、まだ地価上昇が続くことは確実と思われます。