単月で最高となった3月の沖縄訪問観光客
沖縄県が4月25日に公表した令和6年度(2023年)の入域観光客数は、995万2,400人となり、22年に比べて141万9,800人(16.6%)増えました。過去最多だった2019年(平成30年)に対して99.5%(過去2番目)となりました。
国内観光客数は過去最高、外国人観光客数の回復はやや遅れているものの、クルーズ船の再開など、徐々に回復している、という状況でした。
25年に入り、引き続き国内観光客数が好調に加えて、外国人観光客数も伸びており、同日に発表された25年3月分の入域観光客数は、月ベースで過去最高となりました。今年の夏には北部に大型テーマパーク「ジャングリア」がオープンし、一気に国内の観光客が増えそうです。このペースでいけば、25年は過去最高数となることは確実でしょう。
過去最高ペースの訪日外国人観光客
日本全体で見ても外国人観光客数は、過去最高水準で推移しています。日本政府観光局(JNTO)が4月16日に公表した25年3月分の訪日外客数(推計値)によれば、3月単月の訪日外客数は349万7600人で過去最高となり、前年同月比では13.5%の増加、1~3月の合計では1053万7300人、前年比23.1%の増加、最速で1000万人を超えました。4倍すれば4214万9200人となります。かつて日本政府が目標を掲げた、「2020年に訪日外国人数4000万人」が、いよいよ25年には達成されそうで、4000万人越えは確実、4500万人越えもありそうです。(ちなみにコロナ禍前の2019年は3188万人でした。)。4月13日には大阪市で「大阪・関西万博」がスタート、10月まで開催されますので、万博目的の外国人も加わり、訪日外国人が増えそうです。
国別の訪日外国人観光客
国別にみれば、近隣のアジア各国の方々が多い状況は変わりませんが、近年は経済成長が著しい東南アジアの国々やインドから訪れる方も増えています。また、欧米各国をみれば、関係の深いアメリカは以前から多かったのですが、他の欧州主要国からの訪問者も増えています。1~3月累計の上位をあげれば、韓国、中国、台湾がベスト3、そしてアメリカ、香港と続きます。上位のアジア各国からの外国人観光客は、東京や関西など内地主要土地を訪れる方も多いですが、沖縄を直接訪れる観光客も多くなっています。
円安と観光客数
近年、一気に訪日外客数が増えている理由としては、「日本の魅力が世界中に広がっているから」であることは間違いないのですが、さらに日本に行きやすくなっているのは、長く円安が続いていることも大きな理由でしょう。ただ、一時1ドル160円前後でしたが、5月半ばでは140円台となっていますので、やや円高に振れているという状況となっていますので、多少勢いは鈍るかもしれません。
外国人観光客の消費額
また、前述のように距離のある(≒飛行機代が高くなる)欧米各国からの訪日数が増えていることは、相対的に富裕層外国人が中心となります。そのため、滞在地での消費金額が増えることや、新たな投資などが生まれることなど、大きなインパクトがあります。こうしたこともあり、23年に政府が掲げた「訪日外国人旅行消費額単価20万円以上、訪日外国人旅行消費額5兆円超え」は、24年に超えました。欧米各国からの訪日観光客に人気のあるエリアでは、宿泊施設の稼働率があがるだけでなく、高額な部屋、高額な食事、を求めることから、一気に消費単価が上昇しています。
入域数と不動産市況
沖縄県を訪れる国内外の観光客(含むビジネス客)は、ほぼすべて宿泊を伴いますので、入域者増は宿泊需要を押し上げ、宿泊関連不動産の価値向上、また新たな開発可能性が高まり、不動産市況が盛り上がります。とくにリゾートエリアでの宿泊施設は雇用を生むだけでなく、従業員の住まいの確保が必要となることが多く、これも不動産市況を押し上げる効果があります。
たとえば、テーマパークジャングリア周辺では賃貸住宅不足となっていることが報じられていますが、これなどはその一例であり、テーマパークは、軌道にのり、来場者が増えれば、拡大することが多いため、そうなれば、いっそう賃貸住宅需要、ホテル需要が高まることでしょう。