最新 法人土地・建物基本調査

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 法人土地・建物基本調査が24年12月23日に公表されました。この調査は5年に1度調査される基幹統計で、住宅・土地統計調査の法人版のような位置づけです。
 執筆時点で公表されたのは「結果の速報版」ということで、詳細なデータの公表はこれからということになりますが、ここでは速報の中から、注目されることを見ておきましょう。

法人土地・建物基本調査とは

 国土交通省が実施する「法人土地・建物基本調査」土地基本調査とは、土地基本調査のうちの1つで、もう1つは「世帯土地統計」(総務省が実施する「住宅・土地統計調査」のうち、土地部分を転写・集計により作成)の2本で構成されています。ともに、全国の土地・建物の所有・利用状況等に関する実態を明らかにし、土地の有効利用を的確に進めるうえで必要となる基礎的な統計データを収集・整備することを目的としている調査です。

 このうち、法人土地・建物基本調査は、我が国の法人における土地・建物の所有状況、利用状況及び取得状況等に関する実態を調査し、その現状を全国及び地域別に明らかにすることにより、土地に関する諸施策その他の基礎資料を得るとともに、広く一般の利用に供することを目的として実施されています。

 前回の調査は2018年(平成30年)に行われ、その5年後に今回の2023年調査が行われています。対象の法人は全国で、約51万社へのアンケート調査です。

2001年以降に取得した土地が半数を占める

 本調査は2023年1月1日時点の状況を回答していますが、速報結果の中で、目を引いたのが「法人が所有する土地の取得時期」です。
 この時点での、法人が所有している土地の面積は約 2.8 万㎢で、これを土地の種類別にみると、「林地」が約 1.4 万㎢(48.7%)と最も多く、「宅地など」が約 0.9万㎢(30.8%)、「農地」が約 0.2 万㎢(5.9%)となっています。林地や農地を除いて、約30%がオフィスや倉庫、店舗、その他事業用の用地や、あるいは投資用として保有している不動産関連ということになります。
 ここで法人が所有する土地面積を時系列にみると、全法人及び会社法人で所有する「宅地など」の土地の件数割合を取得時期別にみれば、法人全体では2001年以降に取得した土地件数が約 125.9 万件(50.1%)と全体の半数近くを占めます。
 その一方で、1955年以前に取得した土地も約 27.3 万件(10.9%)と一定数存在しています。また、業種別にみると、「宗教」「複合サービス事業」「林業」「農業」「金融業、保険業」と、概ね想像がつく業種法人では、2000年以前に取得した土地の件数割合が相対的に高く、「不動産業、物品賃貸業」「医療、福祉」「電気・ガス・熱供給・水道業」では2001年平成 13 年以降に取得した土地の件数割合が相対的に高くなっています。
 また、1法人当たりの保有面積は5年前から1割増えました。

法人が所有する土地のうち、2割弱は貸している

 法人が所有する「宅地など」の土地の貸付件数をみると、他者に貸し付けている土地は約41.2万件で、法人が所有する「宅地など」の土地の16.4%となっています。土地の貸付割合を業種別にみると、「不動産業、物品賃貸業」が最も高く、「農業」が最も低くなっています。

法人所有土地の未利用状況は改善されたのか

 法人が所有する土地のうち、未利用なものが多いことは、以前から指摘されており、都市部では大きく改善されていますが、全国的にはまだ改善されていないようです。
 低・未利用地とされる土地のうち、およそ7割は5年前から低・未利用状態 のようです。約 53.2 万件の低・未利用地(駐車場、資材置場、など利用できない建物及び空き地の合計)のうち、「5年前から低・未利用地」であった土地は約 37.3 万 件(70.2%)と、多くは継続的に低・未利用の状態となっています。 また、「5年前から低・未利用地」で今後も「売却等・転換の予定はない」土地は、約 25.2 万件(低・未利用地全体の 47.4%)で、「5年前から低・未利用地」であった土地の 67.5%となっています。

 土地は何らかのことに使ってこそ価値の出るものです。有効利用の検討をする、あるいは使わないものは売却する、といったアクションを起こすことが求められるでしょう。
 特に地方では、「買い手がつかない」というような状況もあるかもしれませんが、一度専門家に相談してみることをお勧めします。