4年分の基準地価が公表されました。沖縄県の基準地価は、引き続き上昇が続いています。ここでは、住宅地と商業地に分けて見てみましょう。
沖縄県の基準地価:住宅地の状況
沖縄県の住宅地の基準地価は前年比プラス5.8%で、都道府県別に見れば、最も大きく上昇しました。沖縄県は9年連続して上昇率トップとなっています。コロナ禍以降でも、昨年の上昇率は4.9%、一昨年は2.7%と年々上昇幅が拡大しています。
図3は、2015年以降10年間の沖縄県と那覇市の基準地価(住宅地)の変動率の推移です。前述のように、このうち9年間は都道府県別で全国1位の上昇率でした。19年の那覇市の上昇率は14.8%と極めて大きく上昇しました。また、21年以降は沖縄県全体の伸びが那覇市の伸びを超えています。宮古島をはじめとした主要離島、恩納村、残波岬周辺など本当観光地の上昇が大きく牽引しているものと思われます。
住宅地地価上昇の1位は恩納村の地点(真栄田の地点)で29%の上昇となっています。また、上昇率ベスト10に宮古島市の地点が6つランクインしています。宮古島の地価上昇は、かなりの期間続いており、一昔前とは比べものにならない価格での土地売買が行われているようです。
那覇市だけでみれば4.3%の上昇となっていますので、沖縄県全体の方が高い上昇率を示しています。本島の観光地や離島の観光地近くの住宅地上昇が顕著な事が伺えます。
九州沖縄地方では、長崎県(-0.2%)と鹿児島県(-1.1%)を除いて、全てプラス(宮崎県は±0)となっており、半導体企業TSMCの進出の影響に加えて、宮崎県の観光地としての再脚光の影響が出始めています。
半導体工場などの大規模工場の建設が進む地域、観光地化が進む地域では、そこで働く従業員(あるいはその家族も含む)の為の住宅需要が高まります。家族で転居する方々、単身で転居する方々が急増し、会社・工場周辺地域に一気に住宅需要が起こります。そのため、持ち家、賃貸住宅ともニーズが高まり、住宅地地価上昇につながります。この流れは、工場稼働や観光施設の開業まではもちろん、その後もしばらく続きます。
このような状況で期待したいのが、テーマパーク「ジャングリア」の開業です。来園客を見込んでのホテル等の建築はすでに完成、あるいは進められています。そこで働く、従業員の方々向けの賃貸住宅需要も期待でき、住宅の建築が進むことで、地価上昇が期待できるでしょう。
沖縄県の基準地価:住宅地の状況
図4は、2015年以降10年間の沖縄県と那覇市の基準地価(商業地)の変動率の推移です。
24年分の沖縄県の商業地の上昇率は6.1%で都道府県別では4位となりました。那覇市の上昇率は5.6%で、商業地においても、住宅地と同様にコロナ禍以降は沖縄県の方が那覇市よりも上昇率が高くなっています。商業地の開発等は、南部の中心から周辺に移動し、また中部や北部へと向かっていることは、周知の通りです。
25年に向けて
25年に向けて全国的に不動産市場は活気が続くことは確実でしょう。特に沖縄県は、他のエリアと比較してもかなり状況がよく、引き続き大きく上昇するでしょう。一方で、金利の上昇には注意が必要です。金利の上昇は緩やかと思われますが、金融政策の急な変更があるなどした場合は、注視ておいた方がよいと思います。