90年代前半の沖縄本島でのタクシー初乗り料金は、380円だったと記憶しています。何度か値上げが繰り返され(450円や540円などがありました)、24年現在の初乗り料金(標準)は600円となっています。タクシーだけでなく、ランチの定番のそばの値段も大幅に上昇、県内ではあらゆる物の値段が上昇しています。国内外の観光客が増えていることも要因の1つですが、沖縄県の平均所得も上昇していることも背景にあるものと思われます。
島嶼エリアで構成される沖縄県では、食料品やエネルギー関連品など、生活に不可欠なものの多くは、県外(含む海外)から輸送されてきたものです。そのため、原油価格などの影響を受けやすい輸送コストの増大の影響を大きく受けることになります。
図1は 那覇市と全国のコアCPI(生成食料品などを除いて算出して消費者物価指数)を並べたものです。
これをみれば、全国・那覇市とも22年に入り物価上昇が続いていることが分かります。物価上昇率(=インフレ率)は3%を大きく超えました。23年に入り多少落ち着きを見せるかと思われましたが、引き続き物価上昇が続いています。また23年4月以降、現在(最新の24年4月分)まで那覇市の物価上昇率は全国の水準を上回る状況が続いています。
物価上昇は、基本的には需要が供給を上回ることで起こりますが、22年からの物価上昇は、需要の回復の影響もありますが、それ以上に原材料や人件費の上昇(コストプッシュ)の要因が大きいものと思われます。
そのため先に述べたように、その影響を受けやすい沖縄県では、全国に比べて物価上昇が起こっているものと思われます。もちろん、国内外の観光客の増加による影響(とくに人件費など)も大きいと思います。
賃料への影響
物件の上昇が起これば、遅れて住宅賃料が上昇します。すでに沖縄県の住宅賃料は上昇が顕著となっていますが、現在の那覇市の物価上昇の状況から、さらに住宅賃料は上昇するものと思われます。
さらに、沖縄県では19年~22年の賃貸住宅建築数は大きく落ち込んでいましたので、新規賃貸住宅供給数が少ないことも、賃料上昇に拍車をかけています。このような状況が続くものと思われますので、土地活用による賃貸住宅経営は「いい状況」が続くでしょう。