2024年3月以降のイベントと不動産市況への影響

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 3月4日には史上初めて日経平均が4万円を超えて、連日最高値を更新した日々が続きました。日米とも株式市場は好調ですが、しかし、11日には大きく下落するなど、本文でもお伝えしますが、日銀の金融政策の動向を探りながら、上下の激しい相場となっています。 一方、アメリカでは金利上昇に伴い不動産市況はやや停滞気味ですが、日本の不動産市況は引き続き好調が続いています。

 2024年は、4の倍数の年で、世界が注目する五輪開催(パリ)とアメリカ大統領選挙があり、政治と経済が大きく動く可能性が高くなっています。
 本稿では、2024年に予定されている政治経済のイベントのうち、不動産市況に影響のありそうなトピックスを取り上げ、解説したいと思います。(執筆時点:2024年3月12日)

アメリカ大統領選挙と不動産市況

 次のアメリカ大統領選挙は24年11月5日に行われますが、民主党は現職大統領のバイデン氏が再出馬となりますが、共和党は予備選挙が行われておりトランプ前大統領がかなり有利な状況となっています。そうなれば、4年前と同じバイデン氏VSトランプ氏となる見通しです。

 8年前の2016年にヒラリークリントン氏とトランプ氏の大統領選挙の時には、開票が進みトランプ氏が徐々に優勢になるとともに、警戒感からか日米とも株式市場は下げ基調となった(ほどなく、回復)ように、政治的にも経済的にも大きな注目を集めています。

 今回の本選挙でも、トランプ氏有利となりそうとの報道も多く、その際には世界の先進国の経済に多少の影響があるものと思われます。
 ちなみに、ロシアのプーチン大統領の任期は5月7日までで、この日までに大統領選挙が行われますが、現状ではプーチン大統領が再選する見通しのようです。

 日本の不動産市況への影響ですが、直接的にはないと思いますが、米国の政策転換により経済環境が悪化すれば、影響があるかもしれません。
 沖縄県においては、トランプ氏が大統領になり米中関係の状況次第では、台中関係に変化が起こる可能性が高くなります。これは、沖縄県の経済、不動産市況には大きな影響となるでしょう。

日銀の金融政策変更はいつ?

 金利やその他金融政策は、不動産市況はもちろん経済状況に大きな影響を与えます。
いうまでもなく、マイナス金利の解除=政策金利の上昇は「景気上昇スピードを抑える」、つまり「政策的に需要を抑える」方針を示すことになります。ただ、好調な景気に水を差すことになり兼ねないため、仮に金利が上がっても僅かな上昇となりそうです。

 我が国の金融政策を決める会合である日銀金融政策決定会合は、概ね2か月に1度開催されます。2024年の3月以降の日銀金融政策決定会合は、3月18-19日、4月25-26日、6月13日―14日、7月30日―31日と続きますが、この3月か4月の会合で、金融緩和政策の変更(マイナス金利の解除)があるかもしれません。

 もし、金利の上昇があるようなら、好調が続く不動産市況に水を差す可能性がありますが、あってもそれほど大きな金利上昇にならないでしょう。
 しかし、日米の金利差が縮まる方向に向かうということになりますので、現状の円安から円高方向へ進むことになります。その影響で、日経平均は下がる可能性もあり、株式市場からJREITや実物不動産など不動産資産への資産の移動が起こる可能性もあります。こうして考えれば、多少の影響はあるものの不動産市況悪化という状況にはならないと思われます。

まとめ

 2024年の不動産市況では、まずは今後の日銀の金融政策に注目が集まります。ミニバブル期(その後のリーマンショック期前)以来の金利上昇ですから、たとえ上昇はわずかでも動揺は走るものと思われます。しかし、「たとえマイナス金利の解除があっても、これまでの金融政策と多少の変化はあったとしても、大きな変化はない」という見通しですので、土地活用などを考えている方は、様々な情報をしっかりと入手すること、そして担当者の方々にしっかりと相談することを行っていただき、過剰な不安にならないようにしていただきたいと思います。