なぜ、地方圏住宅地地価は上昇しているのか? 沖縄県内で地価上昇は?

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 23年の沖縄県内の基準地価についてはこちらで解説しました。俯瞰してみれば、地方圏の地価上昇が目立つ結果となりました。加えて、地方主要都市の周辺地域の上昇も目立ちました。

 住宅地地価では沖縄県が上昇率1位でしたが、上昇「率」の数字だけみれば沖縄県全体の方が那覇市を上回ったことが特徴的でした。中心都市の周辺地域の地価上昇という観点では、那覇市に隣接する豊見城市や浦添市、南風原町、中部では北谷町、宜野湾市などの地価上昇はすでに以前から顕著になっています。

 一方で、都道府県レベルでみても、主たる新たな産業が育たず人口減少が続き、という悪循環が止まらず、地価下落がバブル崩壊以降止まっていない、という県も20県前後あります。また、地方都市のなかでも、郊外など人口減少地域では地価が低下しています。

地方圏の住宅地地価上昇の要因

23年の基準地価の上昇が目立った地域の要因を分析してみれば、以下のようになります。

1.地方主要都市の東京化
例えば、近年札幌に行かれた方はご存知のとおり、札幌市では街のあちこちで再開発が進んでいます。札幌市地価上昇は、福岡市の「天神ビックバン計画」と同じように、街の再開発が起爆剤となっています。また、これも福岡と同じように、札幌市が「北海道の東京」と化しており、道内からの人口流入が進んでいます。同じように、地価上昇が続き、街の再開発が続く福岡市は九州においての東京化が進んでいます。札幌市内やその周辺地域では、列挙するとキリがないくらいのビルの建替えや新設、商業施設の建替えや新設、等が既に行われ、あるいは計画されており、それらとともに市街地にいくつものタワーマンション開発が進み、マンション価格が高騰しています。

2.地方中心街の地価高騰により周辺地域への波及
福岡市や札幌市の住宅地地価高騰により、周辺地域での住宅需要が増えています。
これは、先に述べたように沖縄県内でも見られる現象です。沖縄県においては南部では、南風原町、西原町、糸満市などへ、住宅需要はさらに拡大し、また中部では、すでに地価上昇が続いている宜野湾市、北谷町以外にも、沖縄市でも住宅需要がさらに増え、住宅地地価の上昇がますます顕著になってくるものと思われます。