ホテル建築投資の仕組みと今後の見通し

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 今回は、沖縄でも見られる、土地所有者(個人地主・企業)が所有土地にホテルを建て運用する事例について考えてみましょう。土地活用として収益建物を建築して、収益を得るという行為は同じですが、よく見られる賃貸住宅経営とは少し異なります。今回はホテル建築投資について考えます。

 ホテル建築投資は、土地所有者(個人地主・企業)が所有土地にホテルを建て運用して収益を上げる土地活用投資の1つです。

 ホテルが完成すると、自ら運営する例は極めて稀で、基本的にはホテル運営会社に委託します。また、土地活用系の企業が建築からホテル運営まで一気通貫で引き受けるスキームもあります。ホテル所有者がホテル関連企業に賃借し、その賃料が収益ですが、賃借企業がそのままホテル運営するパターンと賃借企業がホテル運営会社に委託すれ2パターンあります。

 ホテル建築投資の収益源は、毎月の賃料と保有不動産の入れ替えに伴う売却益です。売却益は短期的にはあまりありません。ホテルビジネスの特性上、短期での物件売却はレアケースです。また、テナントの撤退や賃料不払いなどがなければ、契約期間内は約束された賃料が入ってくることになります。

 しかし、ホテルビジネスは、オフィスやレジデンスなどに比べて、オペレーション(運営)の良し悪し、また天候・交通機関の影響など、様々な外的・内的の影響を受けやすいビジネスです。

 そのため、ホテル賃貸借契約では、オーナーと賃借企業との賃貸借契約で「変動賃料制」を取っている物件みられます。変動賃料制とは、ざっくり言えば、毎月の固定賃料にホテルの営業利益などに連動した変動賃料を上乗せする契約形態です。そのため稼働率や客室平均単価の動向で収益に変動が生じることになります。

ホテルの運営状況を見る指標

 ホテルの運営状況を把握するための指標としては、下記の3つが代表的です。

1つ目は、客室がどれくらい稼働しているか? 
 客室稼働率(OCC)は、稼働客室数÷販売可能部屋数 で計算されます。
 75%~80%以上は欲しいところです。

2つ目は、客室の平均単価は?
 客室平均単価(ADR)は、宿泊部門売上(サービス料込)総額÷稼働客室数 で計算されます。客室の平均単価とみるといいでしょう。
 客室単価が上がれば、稼働率が下がる可能性があり、また逆の可能性もあります。

そのため、次の3つ目の指標がより重要視されます。

3つ目は、客室の収益性は?
 客室の収益性を見る指標としてRevPARがあります。
 客室稼働率(OCC)×客室平均稼働率(ADR)で計算します。

ホテル建築投資の今後

 現状の那覇市内のホテルは過剰ではなのか?この10年で那覇市や周辺ではかなり宿泊特化型ホテル(=ビジネスホテル)が建てられたのではないか? 中北部にも、ここ10年で多くのリゾートホテルがオープンしました。先島や離島でも大小多くの宿泊施設がオープンしました。

 確かに、県内ではこの10年多くの各種宿泊施設がオープンしました。しかし、このさきもまだ国内外からの来沖観光客は増えると思われます。ご了承のように、すでにインバウンド観光客はかなり回復しており、最新の23年7月には232万人(単純に12倍すれば2784万人)、この先中国からの観光客が増える見通しで、空きには年間3000万人ペースになるでしょう。政府は25年に3200万人まで増やすことを目標に掲げており、その達成可能性は高いと思われます。また、23年6月分のホテル稼働率(OCC)は73%、ADRは16000円台、RevPARは12000円台になっていますが、このうち少なくともOCCとRevPARはこの先上昇するものと思われます。

 いろいろな土地活用を検討してみるといいと思います。