全国の23年路線価の分析と、路線価についての解説

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 国税庁は7月3日、相続税や贈与税の算定基準となる2023年分の路線価(1月1日時点)を発表しました。路線価とは、主要道路に面する土地の1平方メートル当たりの価格を言います。本稿では、23年分の全国の路線価について詳しく見ていきましょう。また合わせて、改めて「路線価とは?」を解説します。

23年路線価の状況

 全国約31万6千地点(標準宅地=宅地とは、建物が建っている敷地の事です。)の平均変動率は前年プラス1.5%となりました。前々年はマイナス0.5%、そして前年はプラス0.5%でしたので、前年から1ポイント伸び率が拡大したことになり、回復が鮮明となっています。
都道府県別の変動率でみれば、前年比で上昇した都道府県は27都道府県、変動率が上昇(もしくはマイナス幅が縮小)したのは45都道府県となっています。また、マイナスからプラスになったのは、7県(横ばい含む)となりました。

 都道府県別で、上昇率がトップだったのは北海道の6.8%(前年も1位:4.0%)、つづいて福岡県4.5%(前年も2位:3.6%)、宮城県の4.4%(前年も3位:2.9%)、沖縄県の3.6%(前年も4位:1.6%)、東京都3.2%(前年は6位:1.1%)となっています。上昇率ベスト4は昨年と同じで、また地価公示と同じように、地方主要地域の上昇が目立っています。

県庁所在地の最高路線価

 都道府県庁所在地の最高路線価地点をみると、上昇したのは43地点でした。前年は31地点、前々年は8都市の地点でしたので大幅に増え、ほぼ全国に広がっていることがわかります。
 下落したのは4地点で、前年は16地点でしたので、全国的な地価回復状況がわかります。

全国の23年路線価の分析と、路線価についての解説|資産活用総研 大鏡建設

 図1は、都道府県県庁所在都市の最高路線価を「対前年比」の順に並べたものです。(注:千葉市は最高路線価地点に変動があったため、圏外にしています。
 トップは岡山市、次いで札幌市、さいたま市、福井市、奈良市、岐阜市、秋田市の順となっており、地方の県庁所在地中心部での地価上昇が顕著な事が分かります。地方都市の駅前など中心地再開発が続き、人口減少が続いている都市の中心地でも路線価の顕著な上昇が見られました。

相続税・贈与税と路線価

 ここからは、「路線価とは?」についての概要を説明します。
 相続税の算定、贈与税の算定をする際に、現金や株式などは、価格の査定が容易ですが、土地や建物といった不動産に関しては、実勢価格に基づいて地価を申告してもいいのですが、個別性が強いため価格算定が容易ではありません。そのために、国税庁が路線価を設定しており、それに基づいた申告をすることができます。 23年中に、お亡くなりになった方の相続に伴う相続税、23年中に行われた贈与に伴う贈与税などは、今回発表分の路線価を使い価格算定することができます。

固定資産税評価額と相続税評価額

 路線価と呼ばれるものには、固定資産税路線価と相続税路線価の2つがあります。
 一般的に路線価と言えば、「相続税路線価」のことを指すことが多く、国に納める国税である相続税・贈与税等の課税のためを目的とし、国税庁が算定しています。相続税路線価は、概ね公示地価の8割程度となっています。

 一方、「固定資産税路線価」は、市区町村(東京23区の場合は都)に納める地方税である固定資産税の算定を目的としていており、各市町村(もしくは区)が算定しています。固定資産税路線価は、公示地価の約7割程度となっています。固定資産税路線価から固定資産税評価額が算定され、これに基づき、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税といった不動産を所有・取得に関する税の基準となります。価格時点は同じく1月1日、3年ごとに更新され、基準年の4月に公表されます。

 「固定資産税路線価」は、3年に1度の更新(21年は3年に1度の見直し年でしたが、新型コロナウイルスの影響が大きかった為、1年間の見直しの据え置きがありました。)です。そのため、地価が上昇している状況であれば、固定資産税路線価の据え置きは不動産所有者の不利益にはなりませんが、地価が下落している状況であれば不利益が生じます。そのため、地価下落時は、できる限り固定資産税路線価額に反映させるため、市町村(東京23区の場合は都)の判断により簡易方法で修正を加えることができます。これを時点修正といいます。

借地権の場合の路線価の算定

 路線価は、道路における土地価格が示されています。特定条件や奥行距離等による補正、その他その計算方式はかなり複雑です。国税庁のホームページで検索すれば、ご自身で路線価を計算することもできます。
https://www.rosenka.nta.go.jp/

 また、沖縄県内中心部でも見られる「借地」にも、この権利にも路線価があります。
土地所有者から土地を借りて建物を建てている=借地権を所有している、であり、土地を貸している所有者=底地を保有している、となります。

 このような借地の場合、上記サイト内の数字で示された路線価の後にAからGのアルファベットが付与されており、これで判断します。アルファベットは借地権割合を示すもので、A:90% B:80% C:70% D:60% E:50% F:40% G:30% となっています。例えば、60Bとあれば、路線価は㎡単価で、千円単位で表記なので、㎡単価60万円で、借地権割合80%、つまりこの土地の借利権を所有している場合、48万円(㎡単価)が路線価となります。

今後の見通し

 路線価は、基本的には地価公示と同じ傾向になります。
 24年の地価公示、路線価とも、経済状況が活況である事が鮮明な事、観光客の増加、人流増加が顕著な事などから、多くのエリアで今年を上回るでしょう。また、これまで開発が進んでいなかった地方都市の中心地再開発が進み、こうしたエリアの路線価上昇基調がより顕著になるでしょう。