賃貸経営は管理委託会社との連携がカギ

shisan_202306b.jpg

 賃貸住宅を建築して賃貸経営において、契約までは「どんな間取りにしようか」「どれくらいの資金が必要か」、「どんな会社に依頼しようか」、そして「どれくらいの収益性があるのか」など、多くの方があれこれと悩みます。

 しかし、竣工して入居者が付いてからは、管理会社にまかせっきりにしている方も多いようです。確かに、賃貸住宅経営は「管理会社に任せれば、たいして手間がかからない」というのが、良いところでもありますが、いうまでもなく建築してから経営のスタートです。

 賃貸住宅を建築することは、つまり投資をするというリスクを取るわけですから、収益(=リターンを得る)の管理をきちんと行い、そして「リターンの最大化を図る為の努力をする」ということを考える必要があります。
 そこでは、管理を委託する会社との連携が重要となります。

収益性向上の3つの視点

 賃貸住宅経営における収益性(=リターン)の最大化を図るためには、以下の3つの視点が重要となります。1つ目は、「収入の拡大を図る」、2つ目は、「支出の最小化を図る」、3つ目は、「将来にわたり資産の活用を考える」ということです。ここで、カギとなるのが管理委託会社との関係性です。
 いずれも、重要なことです。

収入の拡大を図るために

 「収入の拡大」は、もちろん賃料を適切に得ることがスタートです。事前の収益計画を立てた際の賃料、空室想定に収まることは必須です。賃貸需要が旺盛で、新規賃貸住宅の供給量が少ない沖縄県内主要部では、ネガティブ要因は少ないでしょう。しかし、油断は禁物です。

 次に考えたい事は、入居者が退去するタイミングで、賃料の上げることです。もちろん、周辺の需給バランスにより、下がる可能性もあるわけですから、競争優位に立つことが必須になります。

 ここでは、管理会社との連携(親密な関係)が求められます。多くの場合、電話やメールなどで、「次の入居者募集の際には〇万円で募集することでいかがでしょう」という連絡が入ります。管理会社としては、少しでも早く次の入居者が決まることで、空室期間を短くし、賃料未収を抑えたいという思いで対応します。

 例えばそれまで10万円の物件ならば、10万円(横ばい)か+α程度の新家賃を提示されます。それに対して、「はい、わかりました」と答える方も多いようですが、管理会社との連携がキッチリできていれば、じっくり話し合いをして、例えば、「とりあえず、11万円で少し反応をみてみよう」と管理会社に逆提案をしてみてもいいでしょう。こういう提案にしっかりと応えてくれる管理会社を選びたいものです。

管理会社と連携して支出を抑える

 賃貸住宅の運営における支出は、シミレーションで大まかな想定ができます。これまで多くの物件を手掛けた会社ならば、適切なシミレーションしてくれます。

 主な支出としては、管理費用(外注)、税金、保険などになります。また、入退去に伴うメンテンナンス費用(のうち、オーナー負担分)は正確な額は読みにくいものですが、メンテナンス費用(予備費)として事前に見ておけば、ある程度はカバーできます。

 また、修繕計画や住設品の入れ替え期などもだいたい想定できますので、物価上昇などは予想が付きにくいですが、ある程度の見通しを立てることができます。

 しかし、例えば築15年程度たった物件では、エアコンや給湯器、ガスコンロなどに不具合が起こる可能性が高くなります。こうした場合、入居者は管理会社に連絡、管理会社が状況を確認して、修理で済むものなのか、交換の必要があるかを判断します。一般的な管理会社の場合、「入居者から使えないと連絡があったので、交換します。費用は〇〇万円です。」というあっさりした連絡が来ます。しかし、このような時に、可能なら管理会社による修理で済ますことができれば、費用はあまりかかりませんし、いったん修理で対応してその後に交換すれば、その期間分支出が先伸びになります。

 このような対応をお願いできるかどうかは、管理会社との関係が密かどうかで決まります。これは一例に過ぎず、他にもこのように管理会社との関係により支出を抑えることができるような例は多く見られます。オーナーの立場に立ち、場合たり的でない対応を取ってくれる管理会社(担当者)に物件管理はお願いしたいものです。

将来戦略を考えるパートナー

 土地活用としての賃貸住宅経営では、将来売却を考えている方はあまり多くないようですが、一方で、代々の土地に建つ収益物件である賃貸住宅を子孫に承継するかたも、多くいらっしゃいます。このように「資産をどうするか」について、いつかは考えなければならない時が来ます。このような将来戦略のアドバイスは、管理会社もしくは建築会社の担当者に相談することになります。

 しかし、管理会社の社員は「物件管理・入居者管理をスムーズに行う」ことが主たる業務のため、「資産運用のアドアイス」をできる方が少ないようです。また、建築会社の社員の中にも、建物については詳しいけれども資産活用のアドバイスが苦手な方もおられます。このような担当者にあたれば、いい将来戦略を推進することは難しくなります。このような場合には、管理会社、建築会社の中でしっかりとアドバイスできる信頼できる担当者に担当替えをしてもらうといいでしょう。担当者個人との関係強化も重要ですが、管理会社や建築会社との関係を密にしておけば、こうしたこともスムーズに行うことができるでしょう。