23年前半の住宅着工戸数の状況と今後の見通し

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23年1-4月の「持ち家」着工戸数の状況

 22年の1年間を通じて、「持ち家」着工戸数は前年同期比マイナスが続きました。
 23年に入っても、「持ち家」着工戸数はかなり苦戦しており、23年1月から4月(執筆時最新)まで、月間2万戸を超えた月はまだありません。前年同月比マイナスは21年12月以降17カ月連続となり、22年6月以降は、(23年1・2月を除いて)前年同月比2ケタのマイナスとなっています。

 近年の持ち家着工戸数は概ね年間28-29万戸(単純計算で月2.3-2.4万戸)で推移していました。新型コロナウイルスの影響が大きかった20年でも約26万戸でしたので、22年はそれを下回る25.3万戸、23年はこれよりも少ないペースでここまで推移しています。住宅建築工事費の高止まりが続いていることが影響していると思われます。

 工事費デフレーターを見れば、住宅建築工事費は21年半ばに大きく上昇しており、これより前と後では着工戸数に大きな差が出ています。この先は、もう一段の住宅建築費上昇が見込まれており、個人利用(自宅)の住宅の建築は、賃金上昇が顕著になるまで、厳しい数字が続くものと思われます。

23年前半の住宅着工戸数の状況と今後の見通し|資産活用総研 大鏡建設

23年1-4月の「分譲戸建」着工戸数の状況

 次に、「分譲戸建」を見てみましょう。20年春から新型コロナウイルスが広まりを見せましたが、多少の落ち着きを見せ始めた21年も在宅ワークが続きました。このままリモートワークが定着することが予想され、ゆとりある暮らしを求める方が増えました。これに呼応するかのように郊外の戸建需要が増えました。加えて、首都圏でのマンション価格の上昇が一段と顕著になり、相対的に価格上昇が抑えられていた戸建へと需要が向かったわけです。

 これら2つの大きな要因により、20年秋以降、郊外の戸建住宅の品薄感が広がりはじめ、分譲戸建に強いデベロッパーが用地を仕入れ戸建て住宅を建築します。こうした流れで、21年5月以降22年10月まで前年同月比プラスが続きました。

 しかし、22年11月以降23年4月までは前年同月比マイナスとなっています。これは、21年後半から22年は前述の通り多くの着工戸数がありましたので、前年同月比ではマイナスになったと考えられます。しかし、この需要も一巡した感があることや、「持ち家」と同様に住宅建築工事費の上昇、そして郊外(地方部)でも住宅地地価が上昇していることにより、土地+建物での分譲戸建価格が、「売れそうな」価格で提供できないため、デベロッパーが慎重に開発を行っていることも要因だと考えられます。

23年1-4月の「貸家」着工戸数の状況

 一方、賃貸用住宅の「貸家」着工戸数は、23年1-3月は前年比でプラス、とくに1・2月は前年同月比で4%を超えるプラスでしたが、4月は26カ月ぶりに前年同月比マイナスとなりました。しかし、賃貸住宅のキャップレートは極めて低くなっており、不動産投資熱の高さがうかがえます。そのため、5月分以降の数字に注目が集まります。1-4月の貸家着工戸数は約11万戸で、昨年とほぼ同じペースとなっています。

 沖縄県においても、近年貸家着工戸数はかなり少ない状況が続いています。とくに20年以降は大きく数を減らしています。

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新設住宅着工戸数の23年後半の見通し

 ここからは、23年後半の見通しと年間合計の見通しについて考えてみましょう。

 まず、貸家着工戸数では、1-4月は22年とほぼ同じ(+1%)ペースで推移しています。1-4月の4カ月分を単純に3倍すれば、年間計は33万戸となります。22年は約34.5万戸でしたが、22年は年の後半に大きく伸びました。同じような状況になれば、34.9万戸から35万戸近くまで伸びる可能性もあります。ただし、日銀の金融緩和政策の変更にともない、金利上昇が見られれば、勢いはなくなるでしょう。また、大手各社の5月分の貸家着工戸数(速報)は昨年比でマイナスのところが多いようです。

 次に持ち家は、物価上昇、建築工事費の上昇に対して、所得の上昇が追い付くまでは苦戦が続きそうです。22年は25.3万戸(21年比でマイナス11.3%)でしたが、23年1-4月も前年同期比マイナス10%となっており、このペースで推移すれば低くみれば21万戸台、高く見ても22万戸台前半と思われ、ここ10年で最も少なくなるかもしれません。

 また、23年の年間の新設住宅着工戸数(総数)は、低迷の「持ち家」、需要は旺盛ですが適地不足の分譲マンションが大きく減ると思われ、約86万だった昨年よりも減り、80万戸台の前半になると予想します。