22年後半の日本のマクロ経済指標から見る今後のインフレ見通しと金利

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 アメリカや欧州では少しずつインフレ速度にブレーキがかかってきました。アメリカ11月分の消費者物価指数は前年同月比7.1%の上昇で、上昇幅は5カ月連続の低下となりました。また、アメリカ11月分の小売売上高は、前月比マイナス0.6%と11か月ぶりの大幅減となりました。

 一方、日本においては逆に消費者物価指数(CPI)はジワジワと上昇しています。12日(月)に日銀から発表された11月分の企業物価指数前年同月比+9.3%となり21カ月連続上昇となりました。指数は118.5ポイントと最高水準に達しています。ガスや電気などのエネルギー価格、原材料費の高騰が背景にあります。ただ、この先の見通しでは、エネルギー価格はしばらくすると落ち着く気配を見せ始めています。

 一方、7日に内閣府より発表された「国内7-9月期の需給ギャップ」は需要が供給に足らず-2.7%、年換算で15兆円の需要不足なっています。これらの数字をみれば、現在の物価上昇はコスト高によるものであることは明らかです。

 また、6日に厚生労働省から発表された毎月勤労統計によれば、10月の実質賃金は-2.6%となっており、物価高に賃金が追い付いていません。企業は従業員に対して、ベースアップではなく一時金で対応する企業が多いようですので、この傾向が続けば一時的には緩和されるかもしれませんが実質賃金が下がり続け、「買い控え」が起こる可能性があります。

 実際に、総務省が6日に発表した10月分の家計調査では、食料品の支出は3カ月ぶりに減少(-0.4%)となりました。値上げ前の9月に買いだめした反動とも考えられますが、値上げの影響は確実に出ているものを思われます。

 12月19-20日(月・火)に日銀の金融政策決定会合が行われます。ここでは、金融政策が決まりますが、こうした統計データから考えると、12月の日銀の金融政策決定会合での我が国の政策金利が上がる可能性は少ないでしょう。