沖縄県の分譲マンション価格が2015年半ば以降、上昇を続けていることは本サイトでも何度かお伝えしてきました。
分譲マンションの多くは、誰かに貸すのではなく自用として購入します。そのため、価格上昇の実感はマンション価格(の実数字)だけでなく、購入者の所得(年収)と比較して見ると、一層イメージが付きやすくなります。
年収倍率でみる沖縄のマンション価格の高騰ぶり
マンション価格を年収で割った値を、「マンション年収倍率」と言います。2021年の沖縄県では新築マンションでは12.1倍、中古マンションでは9.7倍となっています。ここでの、年収(額面:手取りではなく、税や保険支払い前)ですので、実際はもう少し高くなっているものと思われます。
図1は、沖縄県におけるマンション年収倍率の2007年以降の推移を示しています。これをみれば、新築マンションでは2007年には約6倍だったものが、2018年には10倍を超え、現在は12倍を超えました。
沖縄県の中古マンション価格年収倍率のデータは2010年からしかありませんが、これをみれば、2010年は5.5倍だったものが、2018年には9.3倍、21年には9.7倍となりました。
この間、沖縄県の所得水準、平均賃金、いずれも上昇していますので、この倍率上昇は、純粋にマンション価格の上昇によるものだと言えます。
全国でも最高水準のマンション価格倍率
「沖縄県のマンションは高い」という実感は、都道府県別の年収倍率をみれば、一層際立ちます。
図2は都道府県別の新築マンションの年収倍率です。これをみれば、全国平均では、8,9倍ですが、沖縄県は東京都に次いで2位となっています。際立っての倍率の高さがうかがえます。
図3は、都道府県別の中古マンションの年収倍率です。中古マンションは突出して東京が高くなっていますが、沖縄県も10倍近い数字で、かなり高い実感があると思われます。
なぜ、沖縄のマンション価格は上昇するのか
沖縄県におけるマンション価格上昇の背景は、3つの要因が考えられます。
1つ目は、人口動態によるものです。沖縄県では30代後半から40代が人口ボリュームゾーンで、ちょうど自宅を購入する時期にさしかかっています。80年代後半のバブル期は、内地において人口ボリュームゾーンが自宅購入を行ったことが大きな要因であることと同様です。
2つ目は、所得水準の上昇です。所得が増えると、自宅購入需要が増えます。沖縄県の平均年収は、近年大きく上昇しています。
3つ目は、移住・セカンドハウス、投資対象などの内地需要が旺盛であることです。豪華で高額なマンションが建築されていますが、こうした層の需要に応えての物件のようです。マンションの平均価格が上がる要因となります。
4つ目は、低金利が長く続いていることです。
沖縄マンション市況の今後
いま述べたようなことが主たる要因とすれば、1~3は、確実にこの先しばらく続くでしょう。低金利が続くならば、天井はあるものの、いましばらく価格上昇は続くでしょう。