22年8月9日、総務省より住民基本台帳に基づく2022年1月1日現在の人口動態調査が発表されました。
最新の調査結果によれば、日本国内に住む日本人の人口は、前年比で61万9140人減り、1億2322万3561人となりました。これは、平成22年以降13年連続の減少となります。減少率でみれば、マイナス0.5%で前年はマイナス0.34%でしたので、マイナス幅が拡大、1968年の調査開始以降最大のマイナスとなりました。
ちなみに、外国人も含めれば、日本に住む人口総数は1億2592万7902人となりました。
一方で、住宅需要に大きな影響のある世帯数は、今年も増加し世帯数総計は5976万1065世帯、プラス0.44%となりました。まず、日本全体の人口について解説し、後半で世帯数の解説をします。
また、沖縄県の状況については、別稿(アドレス貼り付け)で解説しておりますので、合わせてお読み下さい。
人口の社会増減と自然増減
人口動態、つまり「人口の増減」は、自然増減と社会増減に大別されます。
自然増減は、出生数と死亡者数から算出します。2021年1年間の日本人の出生者数は前年比3万1285人減り(マイナス3.71%)81万2036人となり、1979年度の調査開始以降最少となりました。一方、死亡者数は6万7810人(4.93%)増の144万1739人で、死亡者数から出生者数を引いた「自然減」は62万9703人でした。後述しますが、沖縄県を除けば、全国的に少子化がさらに進んでいる結果となりました。
社会増減は、これは転入者数等と転出者数等から算出します。プラス1万205人、前年が3万5,935人、前々年は19万5,915人でしたので、社会増減はプラスですが、社会増加数は2年連続で縮小しました。
沖縄県以外は、全て人口減少!都道府県別の人口増減
次に都道府県別の人口動態です。
都道府県別では、人口が増加したのは沖縄県のみで、その他の46都道府県ではマイナスとなりました。沖縄県が唯一となったのは、調査開始以来初めてです。いまや、沖縄県以外は人口減少地域です。
前年は東京・神奈川・埼玉・千葉の首都圏(1都3県)がプラスでしたが、これらの件でもマイナスになったことは、ニュースでも大きく取り上げられました。以前から続く少子化のため自然減が増え続けており、その分を新型コロナウイルスの影響で転入者がそれほど多くなく、つまり社会増でカバーしきれなくなり、人口減少となりました。
社会増減(流入者と転出者の差)では、11の都府県(神奈川・埼玉・千葉・東京・福岡・大阪・茨城・沖縄・滋賀・山梨・宮城)でプラスとなりました。注目されたのは、山梨県が直近5年間で初めてプラスになったこと、そして社会増加数が24年間トップだった東京都が4位となり、神奈川・埼玉・千葉の方が多かった事です。首都圏周辺部への移動が起きているようです。
続く都市部への人口集中
2018年~2022年の各年対2017年の人口増減率をみると、全てプラスになっているのは東京・神奈川・沖縄の3つ都県となっています。また、人口の集中は引き続き進んでおり、人口が多い上位8つの都道府県(東京・神奈川・大阪・埼玉・千葉・兵庫・北海道)で総人口の半分以上となっています。
また、3大都市圏の人口総数は、やや減ったものの、依然人口の半数を超え(52.53%)3大都市に住む人口割合は過去最高値で、都市集中傾向は続いています。
世帯数の状況
全国の世帯数は5976万1065世帯で前年より26万3709世帯増えました。現行の調査開始(1968年)以来毎年増加しています。
住宅需要を推し量るには、人口動態も重要ですが、一般的に住宅には世帯単位で住みますので、世帯数の方が重要とされています。
ここまで見てきたように、確かに我が国は人口減少期に入っていますが、世帯数はまだ増加傾向にあります。
世帯構成員の変化
全国の1世帯当たりの平均構成人員は2.11人(前年は2.13人)となりました。この数字は、現行の調査開始(1968年)以来毎年減少しており史上最低となりました。1968年(昭和43年)の世帯構成員の平均は3.76人でしたので、半分までにはなっていませんが、それに近い数字となっています。
首都圏の1世帯当たりの平均構成人員では、最も少ないのは続いて東京都1.88人で1都3県は概ね2人です。
平均構成人員の減少は、以前は核家族化が主たる要因でしたが、近年の減少要因は単独世帯の増加が主な要因です。国立社会保障・人口問題研究所の予測では2040年には約4割の世帯が単独世帯になるとされていますので、1世帯当たりの平均構成人員の低下はさらに加速するでしょう。
人口動態から推測する、これからの住宅需要
このように、最新の人口動態をみると、住宅需要は以下のような傾向になる(あるいは傾向が続く)と思われます。
まず、人口集中が続く都市部では、一定数の人口流入が続き、その転入者は若年層が多く、そして転入者の初期住宅は賃貸住宅が一般的であるため、賃貸住宅需要は底堅いと考えられます。加えて、首都圏周辺地域も人口流入増えていることから、住宅需要が伸びる可能性が高いと思われます。また、単独世帯の増加には拍車がかかり、今後は単身世帯用の住宅、賃貸住宅需要の成長は長く続くと思われます。