沖縄県不動産鑑定士協会が調査・分析している「沖縄県不動産DI調査」の第15回目が21年11月に公表されましたので、その内容を分析してみたいと思います。この調査は、沖縄県の土地価格、不動産取引、賃貸市場の動向について、県内の不動産関連事業者へアンケート調査を行った結果(不動産DI調査)を集計し・分析・公表しているものです。
ちなみに、「DI」とは、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、現況や先行きの見通し 等において、定性的な判断を指標として集約加工した指数のことをいいます。
地価について
公示地価の発表は3月20日頃まで待たねばなりませんが(執筆時点3月15日)、ここでは沖縄県の不動産関連企業がどう見ているか、のデータです。
15年以降19年11月の調査までは、沖縄県における地価DIは、プラス50を超え、かなり高い数字を示していました。20年5月、11月、21年5月の調査ではマイナスでした。しかし、今回調査においては、住宅地はプラス9.9ポイント、次回22年5月の予想でもプラス8.4ポイントのプラスとなっています。住宅地は上昇に転じた一方で、商業地、軍用地はマイナス圏内で、依然下落が続いていると見ている方が多いようです。
22年の後半も、住宅地は上昇を継続し、商業地・軍用地は下落が続く見込みですが、下落感は弱まると予測されています。
住宅系不動産の取引状況
図1は、取引量のDIです。
DIを見ると、2019年半ばごろから、マイナス圏に入りました。2020年のコロナショックでさらに大きくマイナスとなります。しかし、2020年5月の底からは少し回復しているようですが、マンション取引はまだマイナス21.5ポイントとなっています。21年5月時点の21年11月の予測はマイナス8.6ポイントでしたので、回復見込みが予測よりも遅れている状況と言えそうです。宅地はプラス1.5ポイント(前回予測時はプラス7.7ポイント)、戸建は4.9ポイント(前回予測時はプラス1.6ポイント)。住宅系の取引においては、戸建は堅調だが、マンションはまだ回復していないと実感しているようです。
賃貸市場の動向
次に賃貸に関するDIを見てみましょう。
共同住宅の賃料は、コロナショックの影響は少なく、プラス圏内をキープしています。20年11月が底(プラス0.4ポイント)で、以後、少しずつですがプラスが拡大しています。また、この先もプラス圏の予測です。
一方、店舗は稼働率・賃料とも厳しい状況が続いています。こちらは、コロナショックの影響が極めて大きく、だいぶ回復はしているものの未だプラス圏にはありません。
(参考)
この調査における DI は、各判断項目について 4 個の選択肢を用意し、選択肢毎の回答数に基づき、次式で算出するDI=(A-C)÷(A+B+C)×100
動向 | 上昇 | 横ばい | 下落 | 不明 |
回答数 | A | B | C | D |