賃貸住宅におけるマンションタイプとアパートタイプの違い

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 集合住宅タイプの賃貸住宅においては、マンションと呼ばれる建物とアパートと呼ばれる建物があります。それぞれの呼び方に明確な規定があるわけではありませんが、一般的にはマンションは4階建て以上の大型の建物で、アパートは2・3階建ての小さな集合住宅というイメージです。

 ここでは、地主の方や企業が土地活用として建てる賃貸住宅においてマンションタイプとアパートタイプの違い、それぞれのメリットデメリットについて考えます。

建て方や階数の違い

 賃貸住宅において「マンション」もしくは「アパート」と呼ばれるかどうかは、「高さや階数での違い」というよりは、建て方によるところが大きいようです。マンションタイプは、鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)、鉄筋コンクリート造(RC)あるいは鉄骨(S)で建てられた住宅というイメージで、アパートの場合は木造や軽量鉄骨造で建てられた賃貸住宅というイメージです。アパートというと2階建てのイメージですが、最近では軽量鉄骨造で3・4・5階建ての賃貸住宅も都市部では見られるようになりました。

外観の違いと入居者の支持

 RC造やSRC造で作ることが多い賃貸マンションですので、外観は堅牢なイメージに映ります。一方、アパートタイプの外観は、規格化された賃貸住宅のイメージが強く、パネル系の材料で仕上げることが多く軽量なイメージになりいます。

 2つの建物は一般の方でも外観の違いがはっきり認識できますから、入居者を斡旋する時に差ができます。一般的にはマンションタイプの方が、賃料が高く、希望する入居者が増える等、有利に進める事ができます。

 また、最近は一部メーカーが発売する軽量鉄骨造の水準はずいぶん向上しているようですが、一般論としてマンションタイプの方が耐震性、遮音性、断熱性等が優れていますので、入居後の満足度もマンションタイプの方が高いことが多いようです。

建築費用とメンテナンスコスト

 地主の方が行う土地活用においては、昔から軽量鉄骨造が主流でした。現在も地方都市では主流のようです。一方、沖縄ではS造やRC造が主流ですが、このところは木造住宅も増えてきました。また、ここ10年間増えたサラリーマン大家さんと呼ばれるような方が建築する都市部での賃貸住宅は木造も増えています。

 これらの工法で建てられるアパートタイプはマンションタイプに比べて工事単価が安くなり、地主の方やサラリーマン大家さんなどからの支持を集めています。また、ハウスメーカーやアパート専業メーカーが建築する軽量鉄骨造の賃貸住宅は規格化が進むことで単価を抑え、また将来に渡りメンテナンスコストが少なくて済むよう仕様になっています。

耐用年数の違いがもたらすもの

 耐用年数に大きな違いがあります。

 建物における耐用年数とは、実際の建物の耐えうる年数ではなく、法で定められた減価償却を計算する際の年数です。耐用年数は建て方により決められており、一般的に木造住宅では22年、軽量鉄骨造では27年(構造材の厚みでことなる)、鉄骨造は34年(同)、RC造とSRC造は47年となっています。

 これにより、「減価償却費を多くとりたい」、つまり「税効果を狙いたい」という方は22年と短い木造や27年の軽量鉄骨造を選ぶ方が多いようです。

 逆に、金融機関は耐用年数の長さにより返済期間を決めることが多く(最近では木造賃貸住宅で30年を超える返済期間を設定している金融機関もあります)、そのため最も長く返済期間が取れるRC造やSRC造は月々の返済が少なくなりますので、月々のキャッシュフローがよくなります。

売却時に有利なのは?

 いま述べた金融機関の融資期間設定は、売却時にも影響があります。RC造やSRC造が多いマンションタイプは、売却時において買い手がより融資期間を設定できるので、買い客が付きやすいというメリットがあります。新築時には、木造や軽量鉄骨造の賃貸住宅への融資に対して金融機関は比較的フレンドリーですが、中古物件になるとかなりシビアな回答をしているようです。

 ここまで述べたように、賃貸住宅においてアパートタイプとマンションタイプのそれぞれのメリットデメリットを十分に理解した上で建築する必要があります。