1月末に21年12月分の新設住宅着工戸数が国土交通省から公表されました。これにより、21年1年間分の着工戸数が出揃いました。
ここでは、全国と沖縄県の2013年~21年までの9ヵ年の数字を見ながら傾向を考察したいと思います。
全国の21年の新設住宅着工戸数
21年年間合計の新設住宅着工戸数は85.6万戸で2020年に比べて5%のプラスになりました。
カテゴリー別にみると、すべてにおいてプラスとなりましたが、状況は様々な結果となっています。順に見ていくと、持家はプラス9.4%で28.5万戸、貸家はプラス4.8%で32.1万戸、分譲住宅(戸建・マンション)はプラス1.5%で24.3万戸となっています。
個人自用の多い持家は新型コロナウイルスの影響からの反動増が顕著でしたが、分譲住宅はとくに分譲マンションの供給数が少なく、回復はわずかでした。分譲マンション価格は大都市部をはじめ沖縄県においても需要が底堅く、その割に供給数が少なかったため価格上昇が続いています。特に首都圏において平均価格はバブル期を超える価格となっています。
また、貸家=賃貸用住宅は2017年以来のプラスとなりましたが、実数としては2012年並みとなり回復しているとは程遠い数字となっています。
沖縄県における21年の新設住宅着工戸数
次に沖縄県の状況を見てみましょう。
沖縄県における21年の新設住宅着工戸数は約10年ぶりに1万戸を割り込み9668戸となりました。19年はマイナス10%(前年比)、20年はマイナス29%(同)、そして21年はマイナス9.7%となっています。ここ10年でピークだった2018年に比べるとマイナス40%以上になっています(マイナス42.5%)。
カテゴリー別にみると、持家はプラス19%(前年比)で2782戸でしたが、貸家は4399戸でマイナス22.6%(同)で、ピークだった2018年以比べると約4割しかなく、この3年で6割以上減少したことになります。賃貸住宅建築だけを生業とする企業は大苦戦しているものと思われます。
沖縄県において分譲住宅の大半は分譲マンションですが、20年比でプラス4%、2293戸でした。沖縄県においては分譲マンションの新設住宅着工戸数は波が大きいことから、ここでの言及は避けておきます。
22年に入り、数カ月が経過しましたが、貸家の新設住宅着工戸数は、年間で見れば21年よりも増えると思われます。しかし、昨今の経済市況は不安定ですので、予断を許さない状況と言えるでしょう。