最新国勢調査でみる沖縄県における住居の状況

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沖縄県における世帯数の状況

 最新国勢調査によれば、我が国の世帯数は5583万世帯で前回調査から238万世帯、4.5%増となりました。人口減少は始まっていますが、世帯数は1920年の調査開始以来増え続けています。

沖縄県の世帯数は61.3万世帯で増加率9.7%となっており、この5年間での伸び率は都道府県別ではトップで(ちなみに2位は東京都の7.9%増)、増加実数は5.4万世帯となっています。沖縄県における1世帯あたり構成人員は2.33人で前回調査に比べ0.17人の減少、この減少率は全国2位タイとなっています。

 沖縄県においては世帯数が急激に増えており、また大規模家族が減り、核家族世帯や単身世帯が増えているようです。それに伴い、住宅のあり方にも変化が起こっており、この傾向はさらに続くものと思われます。

沖縄県の住居の状況

 国勢調査の調査項目の多くは、人口・世帯・年齢といった人や家族に関する調査項目が多く見られますが、それ以外の大きな項目の1つに「住居の状況」というものがあります。この項目は、主に「どんな住居に住んでいるか」の調査となっています。

住宅の建て方

 この項目は「住宅の建て方」と「住宅の所有関係」の2つに分かれていますので、それらの順にお伝えします。

 調査結果によると、わが国の世帯数は5495万4000世帯で、そのうち「一戸建て住宅」に住むのは2956万1000世帯(53.8%)で最も多くなっています。また、共同住宅(1つの建物に2つ以上の住戸があるもの。主に一般的にマンション・アパートと呼ばれているもの)は2449万3000世帯(44.6%)でした。

 沖縄県においては、一戸建て住宅に住む世帯の割合は40.7%、共同住宅に住む世帯の割合は58.3%、その他0.9%となっています。一戸建て住宅に住む世帯の割合は、東京都(28.6%)についで2番目に低い割合です。

 全国での、世帯に占める割合の推移をみると、共同住宅に住む世帯は、2000年調査では37.4%で以降一貫して増え続けています。前回調査(2015年)では、42.7%でしたので、1.9ポイント上昇しています。逆に一戸建て住宅に住む割合は、2000年調査では58.6%で、こちらは以降一貫して減少しています。前回調査では55.2%でしたので、3.4ポイント低下しています。さきほど、割合の変化をお伝えしましたが、共同住宅に住む世帯数(実数)は、2000年と2020年を比べると2020年の1.43倍となっています。この間の世帯数(実数)は1.19倍でしたので、共同住宅に住む世帯がかなり増えたことが分かります。
 都道府県別にみると、一戸建て住宅に住む世帯が多い上位は、秋田県(80.7%)、山形県(76.9%)、富山県(76.6%)となっており、例年通り日本海側に面する県が上位を占めました。逆に共同住宅に住む世帯が多いのは東京都(70.3%)がダントツで、沖縄県(58.3%)、大阪府(57.1%)と続きます。

 ちなみに、建築基準法においては「集合住宅」の定義は定まっておらず、ちかしいのは国勢調査の項目にある「共同住宅」と「長屋」です。昔ながらの長屋は最近見かけなくなりましたが、最近では「テラスハウス」と呼ばれる建て方が「長屋」に該当します。かなりイメージが異なりますが、建て方の分類では同一となります。

住宅の所有関係

 次は賃貸住宅需要に関係の深い「住宅の所有」についてです。
 持ち家住む世帯は、61.4%で、割合としては前回調査から0.9ポイント低下しました。

2000年調査では61.1%、以降62.1%、61.9%、62.3%と割合では大きな変化はありません。実数では、2000年と2020年を比較すれば、1.21倍となっています。都道府県別にみると、持ち家比率が高いのは、秋田県(77.6%)、富山県(76.6%)、山形県(74.8%)が上位となっています。持ち家比率は多くの都道府県別で低下しています。持ち家比率上昇は3つ、横ばい2つ、その他42都道府県では持ち家比率が低下しています。

 沖縄県において持ち家に住む世帯の割合は、46.4%で、東京都(46.1%)に次いで2番目に低い割合でした。前回(2015年)調査では48.6%でしたので、一段と持ち家比率が下がったことになります。沖縄県における持ち家の分類をみると、一戸建てが81.3%、共同住宅が18.1%となっており、この割合は全国平均に近くなっています。

「持ち家」と回答しなかった世帯の方々が何らかの借家に住んでいるということになります。調査の回答では、公的な借家、民営の借家、給与住宅(社宅)などになります。このうち圧倒的に多いのは「民営の借家」です。地主の方が建てる賃貸住宅はこれに該当します。この民営の借家に住む世帯は、全国で29.7%と3割近くになります。この割合は、2000年調査では26.9%で、以降回を追うごとに増えています。この傾向が続くとすれば次回調査では30%を超える可能性は高いと思われます。また、民営の借家に住む世帯の実数は、2000と2020年を比較すると1.33倍となっています。持ち家に住む方の実数の伸び(1.21倍)と比べて、高くなっていることが分かります。

 このように、国勢調査データからも、賃貸住宅(とくに民間経営の賃貸住宅)に住む世帯は増加しており、この傾向は続くものと思われます。人口減少期に入ったわが国ですが、しばらく賃貸住宅需要は増えると推測されます。