インフレ懸念の拡大と賃料収入

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長期資産運用の最大リスクは、インフレ

 長期的な資産運用を行おうとするときには,「物価が大きく上昇すること(=インフレ時)で,その資産そのものが目減りしてしまう」ということが、最大の懸案です。お金=現金という資産は、インフレには対応できません。

 不動産はお金(現金)と異なり、インフレが起こったときには資産インフレも同時に起こることが多いため,そのリスクを回避できる多能性が高まります。また、消費者物価指数にしめる約1/4が家賃(=民営家賃)という事実からも、物価が上がるということ、イコール家賃も上がると言えます。そう考えると、賃料収入を伴う不動産投資は「インフレに強い投資」ということになります。

 このように、賃料収入を得ることは、将来我が国で起こる可能性が高まってきた「インフレに備える」ことになると言え、そういう思惑で賃貸住宅投資を始める方も多くいますし、今後も増えることでしょう。

 実際には日本では近年長期間、数字上のインフレーションは起こっていません。しかし、よく見ればインフレ現象はあちこちで起こっています。近年のガソリン単価、日用品では同価格ながら容量が減る、などに兆候があります。

 しかし、賃料収入を将来に渡って安定的に得ることは、インフレが起こった際のリスクヘッジになります。

インフレとは何か?を再度考える

 インフレーションとは、いうまでもなく「物価が上がること」です。例えば、100円の缶コーヒーが200円になると物価の上昇です。しかし、それは裏を返せば(缶コーヒーの中身が同じだとすると)、100円の価値が下がったということになります。つまり、インフレーションは紙幣、貨幣の価値の下落を意味します。 

 さきに述べたように、民間家賃(=賃料)も物価の1つですから、インフレーションになれば、当然、家賃も上昇します。

 具体的に見てみましょう。

インフレ懸念の拡大と賃料収入|資産活用総研 大鏡建設

 図は、1990年から2021年7月までの消費者物価指数の中のコアCPIと民営家賃の前年同月比の推移です。コアCPIとは、消費者物価指数の中から、自然(天候等)の影響を受けやすい、生鮮鮮魚、野菜、果物などを除いたものです。

 90年代前半をみると、コアCPIと民営賃料はかなり同じような動きを示しています。97~98年、2014~15年のCPI上昇は消費税増税によるものです。2つのグラフをみると「かなり強い相関」の関係にあることが分かります。しかし、近年は消費税増税以外での物価の停滞が続いているため、明確な関係は見えてきません。また、20年は新型コロナウイルスの影響で消費者物価指数は落ち込みました。しかし、民営家賃は、20年後半からは上昇のキザシにあります。

家賃収入はインフレヘッジになる

 上図のように日本においては、近年、消費税増税の時くらいにしかインフレは起こっていません。2013年に日銀総裁に黒田氏が就任した際には、「2%のインフレ目標」を掲げていましたが、実際は現在までそうはなっていません。おそらく、これから2~3年程度は、インフレが起こらないと思いますが、資本主義経済の原理原則から考えると、一定のインフレが起こることこそが、正常と言えます。そのため、市場原理が働くと、いつかはインフレが起こることになります。その日がいつになるのか予測が付きませんが、それほど先ではないことは確かです。

 そうだとすれば、いつか来るインフレに備える必要があります。資産を守る、リスクヘッジを行うという事です。先に述べたように家賃はインフレに連動して上昇します。

このように「インフレに対応するため」は、不動産投資(賃貸住宅投資)を行う大きな理由になりえるわけです。