賃貸住宅向けローンの状況 日銀貸出総量を読み解く

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 リーマンショックによる大きな落ち込みから、不動産市況が好転し始めたのは2012年の半ばごろからです。当時は民主党政権の最終盤期でした。2012年の年末に政権交代、そして2013年5月には日銀総裁の交代を機に、大胆な金融緩和政策が取られました。

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 こうした政策の後押しもあり、不動産投資を行う個人が増えました。サラリーマン〇〇という言葉が広まったのもこの頃です。同時に、不動産投資ローンの新規貸出額が加速度的に増え始めました。比較的利回りも良く、節税効果もある不動産投資に、低金利が後押しとなって、不動産投資への熱が高まっていきました。

 2015年頃は横ばいとなっていましたが、そこを刺激するためか、2016年1月にはマイナス金利政策と呼ばれる一層の低金利政策が取られ、一気に融資金額が増えました。その勢いで、2016年後半~17年が新規貸出額のピークとなりました。
 しかし、2018年には、某地銀による不動産関連の不正融資が明らかになったこと等から、アパートローンなど不動産融資に引き締めの動き、審査が厳しくなる傾向が広がり、アパート建築が進まずといった現象が起こって、同業界の一部で資金繰りが苦しくなるなど一時的な「ショック」が起きました。
 こうした一連の事により、各銀行が不動産融資全般の引き締め体制に入りました。そのため新規貸出額も減少が続きます。

 しかしここに来て、2021年4-6月期は前年同期比で20.9%の増加と、約4年振りに新規貸出額が前年同期比でプラスになりました。
 
 図5は、新規貸出件数と貸家着工戸数の推移を重ねたものです。

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 まず、図4の折れ線グラフ(緑線)と図5の貸出件数の折れ線グラフ(青線)を比較して見てください。貸出金額は2017年後半から21年春ごろまで、マイナス基調にあります。一方、貸出件数は2017年、18年、19年とほぼ横ばい、20年はやや上昇しています。つまり貸出総量は大きく減少していたものの、貸出件数は同程度確保していたということになります。おそらく、1~3億がメイン価格帯であるアパート建築の融資は厳しい状況だったが、1500~3000万円程度がメイン価格帯のワンルームマンション投資などへの融資は、審査基準の厳格化を行わず、通常通りの融資をしていたものと思われます。
 また、図5の赤線は貸家着工戸数(全国)を示しています。2つを重ねると見えてくることは、「新規貸し出しは横ばいからやや増えている」が「貸家着工戸数は減少している」ということで、これは、いくつかの要因が考えられますが、投資用のアパート、マンション、区分マンションの中古物件の取引が活発に行われていることが考えられます。