沖縄県における住宅着工戸数の10年推移

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 近年の沖縄県では、新型コロナウイルスの影響が出た20-21年を除けば、不動産市況は概ね良好でした。その状況を住宅着工戸数の視点で見てみましょう。

沖縄県における住宅着工戸数の10年推移|資産活用総研 大鏡建設

 図1は、2011年~2021年7月までの沖縄県における貸家着工戸数の推移を示しています。緑線は沖縄県全体、赤は沖縄県内の市に在するものに絞った数字、青は那覇市の数字です。
 毎月の数字がそれほど大きくないので、いずれも折れ線グラフは上下して(ギザギザになって)います。そこで12カ月の移動平均(点線)を重ねてみました。こちらの方が、傾向がつかみやすいものと思います。
 全体的では、2011年~19年前半までは概ね好調が続きましたが、2019年半ばから20年、21年年初までは苦戦が続いています。しかし、21年春ごろからは回復のキザシが見えてきました。
 また、那覇市では、数は多くないものの変化は少なく、安定しています。逆に、全体(緑線)と市部(赤線)の動きは似ており、こうしてみると、那覇市以外の市部の影響が沖縄県全体の貸家着工戸数に影響を与えていることが分かります。

 次に、持ち家(おもに注文住宅)を見てみましょう。
 

沖縄県における住宅着工戸数の10年推移|資産活用総研 大鏡建設

 個人が建てる持ち家の着工戸数は、景気や不動産市況よりも税制度の変更、価格上昇などで、着工戸数が変化します。これは、投資的な要素が強い貸家(賃貸住宅)と大きく異なる点です。

 2013年~14年に大きく上昇したのは、消費税増税が決まったためで、全国でも10%以上の伸びを示しました。駆け込み需要と言われるものです。また、20年は新型コロナウイルスの影響が出て減少しましたが、21年に入ると持ち直しています。

 
沖縄県における住宅着工戸数の10年推移|資産活用総研 大鏡建設

 最後に分譲(マンション・戸建)を見ておきましょう。
沖縄県においては(他県と比べて)、分譲住宅の着工戸数の大半は分譲マンションが占めます(大都市でも同様)。つまり、戸建て住宅が少ない土地柄ということです。
 図3を見ると2011年から、ずっと大きく伸びていることがわかります。他のカテゴリーと同様に、19年後半と20年は少し下げましたが、回復基調にあり、まだ伸びるものと思われます。