全国的に増える経年マンションとその課題
国土交通省によると、築40年を超えるマンションは全国に81万戸(2018年時点)あり、その10年後である2028年には2.4倍の198万戸、2038年には367万戸になるとされています。沖縄県においても、2000年代に入り、マンション建設は進んでおり、特に2010年代に入ると、一気に新築物件が増えました。
通常マンションは、築後15年くらいに1度目の大規模修繕、その後5~10年おきに大きな修繕を行い、概ね50年を超えた辺りで建て替えの議論が出始めます。経年マンションが増えることは確実ですので、建物の老朽化に対応するための適切な維持管理、補修、修繕が求められるとともに、それらができなくなっているようなマンションをどうするか、という課題にも向き合っていく必要がでています。
マンションの所有形態は、1つの建物を多くの方々で所有する、区分所有の集合体です。そのため、新築時は表面化しませんが、時間が経つにつれて所有者の状況に変化が起きることが多く見られます。つまり、区分所有者の価値観や意識、さらに現実的な事として経済力に変化が起こり、意思決定における合意形成が難しくなってしまうということです。
こうした背景から、マンションの管理や意思決定に地方自治体の役割を強化することにつながる、「マンション管理適正化法」や「マンション建て替え円滑化法」の改正が2020年6月に行われました。
賃貸住宅においても増える経年マンション
賃貸住宅においても経年物件は増え続けています。
総務省統計局による「住宅・土地統計調査」(2018年:次回は2023年のため、2018年が最新です)によると、沖縄県における旧耐震賃貸物件は、全国で16番目に多く38800戸あり、これは県内の賃貸住宅の15.2%を占めます。
全国の実数は下図の通りです。
図は、旧耐震期に建てられた貸家が2018年時点でどれくらいあるかを都道府県別に集計したものです。(戸数が多い順に並べています。次の表は割合別に並べています)
旧耐震賃貸住宅の建て替えや滅失は徐々に進んでいますが、いまだ、かなり多くの物件が存在していることがわかります。
沖縄県における賃貸住宅は、賃貸住宅需要の高まりを受けて2000年代に入り増え続けており、2000年代前半に建築された物件では、初回の大きな修繕期に入っています。また、先に述べた旧耐震賃貸物件においては、建て替えの検討期になっています。
区分所有マンションとは異なり、基本的に所有者はオーナー一人ということが多いようですが、相続などで複数人の場合もあり、こうした場合は区分所有マンションと同じく価値観・経済合意形成が難しくなることもありそうです。
いずれにせよ、賃貸物件の建て替えを考えている方は、大鏡建設などの建築と賃貸住宅経営の専門家に相談するとよいでしょう。