前回に引き続き、大鏡建設が建築し管理している賃貸住宅のデータを用いて、空室リスクについて考えてみよう。 東京の超一等地(ほんの一部エリア)を除けば、中古分譲マンションの価格は築年数に反比例している。築年数が増えれば(より古い物件ならば)、マンション価格はきれいな線を描いて下がる傾向にある。 築年が経てば、分譲マンションの価値が下がるということになる。 賃貸住宅の賃料においても、分譲マンションほど綺麗な線は描けないが、概ねそうした傾向にある。つまり、古い物件は賃料が安い(当たり前だが)ということだ。 では、空室の期間はどうだろう。先回に述べたように、概ね25日が空室期間の平均とすれば、それより長いということは、客が付きにくい=人気がない、ということになろう。
図1は、大鏡建設が建築し、管理している物件のうち58棟について調べたものだ。 これを見ると、なんとなく右下がりで、年数が経っている物件の方が、空室期間が長いことが分かる。 ただ、それが綺麗に見えるというわけでもない。2007年に建てられた物件などは、こうした傾向にない。 ここで、右上にあるR2という数字を見ていただきたい。これは、相関係数を表しているもので、R2は0.54となっている。 相関係数は、各数字間(この場合、築年数と空室日数)の影響の度合いをしめしたもので、-1から1までの数字で表現される。0.4以上はやや関係あり(=影響あり)で、0.7以上はかなり強い影響あり、逆に-になると、逆の関係、つまり片方の数字の動きに逆らっての動くということになる。 グラフの 0.54という数字は、0.4と0.7のあいだで、微妙であるが、やや強い関係があるというレベルだ。 築年数と空室期間にはそんな関係がある。