市況は、どのデータで読み解くべきか
住宅価格の状況(市況)を読み解くには、一定期間の間に該当エリアで多く取引されていることが求められます。また、物件取引が特定エリアに偏った状況ですと、正確に市況が把握できません。
住宅と言っても、戸建住宅・マンション・賃貸物件・・と、外見もそうですが、様々な権利形態があります。「該当エリアで最も取引されているものは何か」を判断することがスタートです。 近年(1990年代以降)の日本の都市部では、分譲マンションです。アメリカやかつての日本、あるいは現在の郊外においては、戸建住宅が取引のメインとなっています。日本において、マンションを購入する方の多くが、新築マンションを購入していました。しかし、近年は中古マンションを購入する方も増えてきました。大都市部では、取引数は同程度になっています。
沖縄において取引数が多いのは、いうまでもなくマンション、それも中古マンションです。ということで、沖縄県における中古マンションの取引状況(2020年1月から8月)をベースに、新型コロナウイルスによる住宅市況の影響の状況を見てみましょう。
上図は沖縄県における2020年1~8月においての、中古マンションの成約件数と成約㎡単価の推移を示したものです。 3・4・5月が大きく落ち込んでいます。新型コロナウイルスにより、実質営業活動をストップさせていた企業が多かったため、仕方がありません。しかし、6月以降はだいぶ戻しています。
次に成約単価ですが、こちらは4月と5月に大きく落としています。売り急ぎ物件がいくつかあったためだと思いますが、こちらは一時的なことで、現在は上昇基調にあります。
次に、新規売出し物件数の同時期の推移を見てみましょう。
上図は、2020年1~8月の新規登録件数、つまり新たに売り出し登録をした物件数という事です。
新規登録件数は、4月にコロナウイルスによる影響で売り物件が大きく増えます。また同月は売り出し価格が前年同月比で下がっています。おそらく、県外の方が所有している売り急ぎ物件が出たためだと推測されます。
また、非常事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルスの影響が長引いており、回復の見通しが立っていないことから、7月以降の新規登録件数は大きく減らしております。この数字は要注目です。