今回は、住宅着工戸数について考察してみよう。
住宅着工戸数は、住宅業界はもちろん不動産業界をはじめ、裾野の広い建築建設関連業界の多くの方々、そして金融、投資家も注目をしている数字だ。
国土交通省が統計を取っているもので、月単位で数字は公開される。重要な数字であるためか、集計が楽なのか?この手の官庁公開データとしては、締日(月末)から公表まで1か月弱という短さだ。
新聞などを中心に多くのメディアもこの数字を取り上げるが、ここである注意が必要だ。
メディアが発表する集計データとして、年単位(1月~12月)のものと、年度単位(4月~3月)のものがあり、税制度の改革などがある年などは、傾向にずれが見られるのだ。(昨年より上がった、下がったが食い違う)
こうしたことを前提として、2014年分の年単位(1月~12月)が、1月末に出揃ったので、ここで3か年分(すべて、1月~12月集計分)を比較し、検討してみよう。
図1は、2012年~14年の住宅着工戸数を、建て方別にまとめたものだ
一昨年2013年は消費増税駆け込みの需要を反映して、全体で+10%超となり、5年ぶりに100万戸を超えるか?という勢いだったが、2014年は反転して、-10%近い数字となった。特に、ハウスメーカーの主戦場である持ち家(注文住宅など)は20%近いマイナスとなり、どのメーカーも大苦戦したようだ。もちろん、反動減を見込んでいただろうが、おそらく見込み以上のマイナスだったのではないだろうか。
一方、本資産活用総研と関係が深い、貸家(賃貸用アパート等)の数字は+1.7%と4年連続のプラスとなった。一昨年まで、2年連続して10%を超えるプラス数字であり、また貸家においても消費増税の駆け込み需要が見られたので、昨年はマイナスかも、と予想したが、結果的には僅かにプラスの数字となった。おそらく、年度(4月~3月)で計算すると、もう少しプラスになるのではないだろうか。
今年1月からの相続税対策としても、賃貸用住宅建設は注目をされていることからも、2015年の賃貸用住宅市場は引き続き活況だろうと予想される。