どれくらいの人が都道府県間で移動するのか?2018年人口移動報告と単身世帯の増加

shisan_201902a.jpg

日本国内では、どのくらいの方が都道府県をまたいで、引っ越しするのでしょうか。

住民基本台帳は総務省が毎月発表しています。1月31日発表した住民基本台帳に基づく2018年1年間の人口移動報告では、国内における都道府県間移動者数は約253万だったと各メディアが報じています。(ちなみに、同一都道府県内移動は、約282万人)

これによると、年間集計で、「転入者-転出者」で、プラスになる「転入超過」は8都府県しかありません。東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、福岡、大阪、滋賀、いつもの顔ぶれです。残り、39道府県は転出超過になっています。
転入者が一番多いのは東京都で約8万人。東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県(東京圏)で、約14万人も転入超過になっています。

では、どの年代の方々が、都道府県間で移動しているのでしょうか。
最も多く移動するのは、20代前半の男性で、次いで10代後半の男性となっています。このように、就職、進学を機に移動する方が多いようです。
1都3県でみると、10代後半から30歳未満で転入超過が12.7万人となっていますので、先に述べた1都3県の転入超過約14万人のうち、その9割がこの世代ということです。

ここまでの数字は、「転入超過」を示したものですが、もちろんどの都道府県でも「転入者」はいます。この転入の大半は、大都市圏も地方都市においても、「進学・就職」の機に起こるものです。
転入者・転出者数等の詳細は、月単位度総務省から報告されます。2018年12月分(2019年1月31日発表)は下記にありますので、ご覧ください。
https://www.stat.go.jp/data/idou/sokuhou/tsuki/pdf/gaikyou.pdf
ちなみに、これを見ると、少ない県でも400人くらいの転入者がいます。(最多の東京都では約24000人。)沖縄県では、2018年12月の1カ月で、1593人の転入、転出者が1223人、1カ月で370人の転入超過です。

 繰り返しになりますが、都道府県間移動者のほとんどは、「進学・就職」が移動理由となっています。
 進学・就職で住所を変えるとき、そのほとんどの方のまず初めての居住は、賃貸住宅になります。10代後半~20代ですので、収入などを考えても、賃貸住宅か社宅にすむことになると思います。このように、転入者は賃貸住宅需要の大きな柱の1つになります。

 次に人口移動と世帯数について考えてみます。

既に1960年代から、つまり日本において近代化が進むにつれて、人口の移動が活発になってきます。その主なパターンは農村部から都市部への移動ですが、これが都道府県間の移動の場合もあれば、同一県内というパターンもあります。
こうした流れに伴い、世帯当たりの構成人員は減っていきました。1世帯あたりの人数は1980年には約3.2人でしたが、2015年には2.38人となっています。この数字は今後もさらに減少していくと予想されています。2040年には2.08人となる予測で、このころになると、「4人家族って多いよね」という状況になりそうです。

 単身世帯数は2030~35年あたりがピークと予想されていますが、このころになると世帯数そのものが減少し始めていますので、全世帯に占める単身世帯の割合は増え続けます。 1980年では全世帯に占める単身世帯の割合は19.8%でしたが、一貫して増え続けており、2015年には34.5%、つまり3世帯に1世帯は1人暮らしという状況で、この割合は増え続け、2040年には約40%(39.3%)となります。10軒の家のうち、4軒は単身世帯という計算になります。

 地域により多少の違いはありますが、単身世帯の65%~70%は、賃貸住宅に住んでいます。この傾向は全国的に見られるもので、都市部の周辺地域では75%近くの所もありますし、地方都市においてもかなり大きな数字となっています。この割合が続くとするならば、単身世帯の増加は、賃貸住宅需要の増加につながると言えます。