2017年の年間住宅着工戸数を読み解く

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2018年の1月末日、2017年12月分の国土交通省から新設住宅着工数が発表されました。

今回は、2017年の1~12月までの住宅着工数を整理し、考察してみましょう。
 

貸家は6年連続プラス

 2017年、年間の新設住宅着工数は96万4641戸となり、総数はほぼ前年並み(-0.3%)となりました。

2017年12月~2018年1月末 新設住宅着工数|資産活用総研 大鏡建設 沖縄

持ち家は28万4283戸で-2.7%、貸家は41万9397戸で+0.2%、分譲住宅は25万5191戸で+1.9%となりました。
貸家(主に賃貸用住宅)カテゴリーは2012年以来6年連続のプラスで、リーマンショック後大きく数字を落としていましたが、だいぶん戻して来たという状況です。
分譲住宅(主に分譲マンション、分譲戸建て)は3年連続のプラスとなっています。

戸建て、マンションとも旺盛な需要に支えられているようです。

ネガティブな予兆

 しかし、月別の前年同月比を見ると少しネガティブな状況が伺えます。

総数はほぼ前年並みと、冒頭に書きましたが、年の前半が好調だったためで、7月以降年末まで前年同月比でマイナス、2017年1月から12か月で前年同月比プラスになったのは僅か4か月だけとなっています。

 また、貸家カテゴリーは前年対比+0.2%となっていますが、こちらは6月以降年末まで前年同月比マイナスとなっています。6年連続でプラスとなっているのでまだまだ好調感があるようですが、しかし今年は少し落ち込みそうな状況です。

 
 賃貸住宅は地方都市では長く続く低金利、相続税改正などにより、ここ5~6年土地活用として賃貸用住宅を建てる方が増えました。それらが一巡したという印象です。また大都市部においては、開発、建設が進み、新たな用地が少なく、また高騰しているため容易に手が出せないという状況にあります。

 こうしたことから、2018年の住宅着工数は貸家カテゴリーを中心に少し減るものと思われます。