GPIF、ゆうちょ銀行のオルタナティブ投資は不動産価格にどんな影響をもたらすのか?

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2016年 6月半ばの日経新聞に

「これまでリスクの(ほとんど)ない国債での運用が基本だったゆうちょ銀行や年金基金(GPIF)がリスク資産への投資に向かう」という記事が1面トップで掲載された。

 ゆうちょ銀行は国内で最大規模の資産を持つ銀行で運用資産は約200兆円。

昨年度の資金利益は、1.4兆円。計算上の運用利益利回りは、0.7%である(著者計算による)。
ゆうちょ銀行は今後5年程度で6兆円を国内外の不動産や未公開企業株へ振り分けると、記事にある。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、公的年金を運用しているが、こちらは、現在もわずかながら(現在は0.04%:日経記事による)オルタナティブ投資(株や国債と言った古典的な投資先以外のもの。
オルタナティブAlternative=代替)を行っているが、これを今後は5%にまで増やすようだ。
5%は現在の資産に換算すると約7兆円だ。

 こうした動きは、日銀の政策による、マイナス金利政策や、国債の大量買い上げの結果、利回りが極端に低い状況を作り出していることが要因だ。

安定試算では思うように運用益が出ないということで、一定の割合においては、リスクを取って、運用益を得るという状況に切り替えたということだろう。
国内の不動産への投資に新たなプレイヤーが参入することになる。

国内不動産の投資熱はかなり高く、主要都市のマンションをはじめとした不動産価格はミニバブル期を超える勢いだ。

不動産投資熱のバロメーターとなる、キャップレート(期待要求利回り)は東京などいくつかの都市では、ミニバブル期を超えている。

2012年以降は、個人(一般の)の株式投資家も、1棟モノ賃貸住宅投資(アパート投資)を購入する方が増え、さらにはサラリーマンも副業としてこの流れに呼応、年収がそれほど高くない方もワンルームマンションを購入したりと、不動産投資の裾野は広がってきている。

沖縄県においても、その傾向は顕著だ。

県内においては、所有する土地に一棟アパートを建てる土地活用投資だけでなく、新しく開発されたエリアに新築されるマンションを購入して賃貸に貸し出す分譲マンション投資など、いろんな不動産投資が行われている。

冒頭に述べたように、大型機関投資家が国内実物不動産のうち、賃貸住宅(大型レジデンス)への投資を行い始めるようなので、さらに沖縄を含めた日本主要都市の不動産市況の熱は高まるだろう。