住宅着工戸数は、重要な経済指標の一つだ。毎月国土交通省が発表するこのデータは、あまりメディアでは報じられないが、住宅建築に携わる企業のピラミッドを構成する企業数の多さを考えると、与える影響は大きい。
ちなみに、アメリカでの同様な指標は、米国企業の株価等にも影響があることから、注目度合いが高く、メディアでも大きく報じる。なぜか、日本の主要メディアは、日本の住宅着工戸数は報じないが、アメリカの住宅着工数は報じている。
日本国における住宅着工戸数は、昭和42年(1967年)以降は100万戸を超えていたが、リーマンショックの起こった翌年の2009年に80万戸以下という大幅減となり、以降は100万戸を超えたことはない。住宅着工戸数については、この2009年の大幅減の時に少しは報じられ、その4年後の2013年に17年ぶりの消費税増税に際して駆け込み契約が起こった際に少し報じられた程度だ。
住宅着工戸数の統計は「持ち家」、「貸家」、「分譲住宅」の3つに分けられており、「持ち家」は所有する土地に住宅(自宅)を建築、「貸家」は、賃貸用住宅の建築、そして「分譲住宅」は、分譲マンションと、分譲住宅=建売住宅、をそれぞれ指している。
1988年から2014年においての日本全国(総計)の住宅着工数の推移を見てみよう。
バブルのピークである1988年~1990年にかけては160万戸前後で推移、その後一旦減少するが、その後1996年まで高水準が続いた。地価の動きはこの頃はまだまだ下落基調であるのだが、住宅着工数は、そんなことに関係なく、高水準が保たれていた。
3分類の数字の推移を見てみると、「持ち家」は概ね減少基調が続いている。その為か、大手ハウスメーカーも個人住宅の売り上げ比率は下がる一方で、すでに売り上げ構成比を見ると“ハウス”メーカーと呼ぶより、総合建築会社と呼ぶに相応しい状況になっている企業も増えている。
「分譲住宅」は概ね横ばい基調、そして「貸家」は、かなりの波があり、増えたり減ったりとした傾向が見える。
この先、日本全国の住宅着工数が大きく増えることはないだろう。沖縄県においては人口が増える見込みであるが、日本全国ではすでに減少しはじめている。(あってはならないことであるが大きな災害などが起こると、大きく伸びる可能性はある)
3分類に分けて予想すると、持ち家はさらに減少、分譲住宅とりわけ分譲マンションは増えたり減ったりの幅があり、賃貸住宅は微増を続けるとなるだろう。