沖縄県の基準地価を20年スパンで読み解く ―2026年都道府県地価調査―

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 9月15日に2026年都道府県地価調査(価格時点7月1日)の結果が公表されました。沖縄県の全用途平均(林地を除く)は5.8%の上昇(前年は+6.1%)で、2014年から13年連続の上昇となり、上昇率は前年に続いて東京都に次ぐ全国2位でした。用途別にみると、住宅地が5.3%(前年は+5.7%)で全国2位、商業地が6.9%(前年は+7.1%)で全国4位、工業地が8.5%(前年は+9.1%)で全国3位です。高い伸びが続く一方で、上昇幅はいずれの用途も縮小しました。

本稿では単年の数字から少し離れて、2006年からのおよそ20年間の推移をたどり、沖縄県の地価がどのような道筋を歩んできたのかを考察します。

(注:データは国土交通省「都道府県地価調査」公表資料および沖縄県「地価調査結果の概要」より作成。ここでいう地価は、都道府県地価調査に基づく、「基準地価」です。)

第1期:2006~2013年 長い下落の最終局面

 沖縄県の地価はバブル崩壊後、長期にわたって下落しました。住宅地は1999年から2013年まで15年連続、商業地は1992年から2012年まで21年連続の下落です。ただし、この時期の下落幅が全国平均より小さかった点は特徴的です。例えばリーマン・ショック後の2009年をみると、全国の住宅地が4.0%、商業地が5.9%下落したのに対し、沖縄県は住宅地1.4%、商業地2.9%の下落にとどまりました。人口の増加が続き、住宅需要が細らなかったことが下支えになっていたと考えられます。

第2期:2014~2019年 観光ブームによる急上昇

 2013年に商業地が横ばいとなり、2014年には住宅地・商業地ともに上昇に転じました。その後は入域観光客数の急増、ホテル開発の活発化、県外・海外からの投資資金の流入を背景に伸びが加速しました。入域観光客数は2018年度に初めて1,000万人を超え、那覇市の中心部では商業地の取引が過熱気味となりました。こうした流れのなかで、2019年には住宅地6.3%、商業地12.0%と、この20年で最大の上昇を記録しました。同じ年の全国の住宅地はまだマイナス0.1%であり、沖縄県の上昇がいかに突出していたかがわかります。

第3期:2020~2022年 コロナ禍での減速

 新型コロナウイルスの感染拡大で観光需要が急減し、商業地の上昇率は2019年の12.0%から2021年には0.7%まで縮小しました。住宅地も1.6%まで減速しています。ただ、全国平均での住宅地・商業地がマイナスに沈むなかでも、沖縄県は一度もマイナスに転じませんでした。観光への依存度が高い商業地が大きく揺れた一方、住宅地は県内の実需に支えられて底堅さを示した時期といえます。全国的にみて持ち家比率が低く潜在的な住宅需要が厚いことに加え、低金利が続いたことも、住宅地の下支えとなりました。

第4期:2023~2026年 再加速

 観光の回復とともに地価は再び加速し、住宅地は2024年に5.8%、商業地は2025年に7.1%まで上昇率を高めました。入域観光客数は月ごとに過去最高を更新する状況が続いています。上昇エリアは那覇市や中南部から北部、宮古島などの離島へと広がりました。2026年には住宅地の最高価格地点が、9年連続トップだった那覇市天久から牧志1丁目(1㎡あたり37万5千円)に入れ替わっています。住宅地にも店舗や宿泊施設などの需要が入り込んでいることの表れといえるでしょう。

沖縄県の基準地価を20年スパンで読み解く ―2026年都道府県地価調査―|資産活用総研 大鏡建設

今後の地価見通し

 観光需要は旺盛で、県内経済も拡大基調にあることから、地価の上昇は当面続くと思われます。ただし、建築費の高騰や金利上昇の影響から、2026年は全用途で上昇幅が縮小しました。地域別にみても、那覇市や北谷町が需要をけん引する一方、急騰してきた宮古島や今帰仁では一服感が出ています。加えて、長く増加を続けてきた県人口も近年は減少に転じており、住宅地の需要を支えてきた人口要因は、今後は追い風とはいえなくなります。沖縄県の地価は、県全体が一斉に上がる局面から、立地や用途によって選別される局面へと移りつつあります。今後は「上がるか、下がるか」よりも、「どこが、なぜ上がるのか」を見極めることが、これまで以上に重要になるでしょう。