増え続ける沖縄でのセカンドハウス需要が県内不動産価格の押し上げ要因に

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 近年、別荘を建築、あるいは購入したり、リゾートホテル会員権を購入したり、といった第二の拠点を持つ方が増えてきました。また、実際に別荘を所有するのではなく、リゾート会員権を購入したりやシェア別荘を利用したりする方も増えました。とくに、ホテル価格上昇に伴い、リゾートホテル会員権は大手を中心にかなり好調のようです。

 日本でも有数の観光地である沖縄においては、内地に住む方がセカンドハウスとして沖縄のマンションを買う方も多く、そのため高級物件が増えており、これらの要因で沖縄でのマンション価格は上昇しています。

 コロナ禍を経て、富裕層や一定以上の所得のある方々においては、「ライフスタイル」や「時間の使い方」が変化したかたも多く、また「仕事への向き合い方」や「お金との向き合い方」が変わった方も多いようです。こうした方々は、「心も身体もゆとりある心地よい時間」の過ごし方を選択しているようです。それを体現したのが「セカンドハウス:別荘」であり、「二拠点生活=デュアルライフ」ということでしょう。

セカンドハウス需要の増加の背景

 コロナ禍を経て、WELL-BEINGな生き方を求める方が増えました。「お金の使い方の意識が変わり、必要以上に貯めずに、元気なうちに使う思考となった」「お金からの自由、FIREなどを強く意識しない」、「住む場所、拠点にこだわりを持つ」などという思考を持つ方が増えています。このような思考の変化が大きく影響してセカンドハウスの需要が大きく伸びているのでしょう。

 セカンドハウスの立地は、好みによりますが2パターンに分かれます。自宅から気軽にいける近距離(概ね車で2時間以内)に構える方、あるいは気候や自然、食文化などが大きく異なる遠距離に構える方、に大別されます。

 首都圏をベースに考えれば、前者は軽井沢や那須、八ヶ岳、熱海といった地域です。後者の代表格は沖縄です。セカンドハウス拠点としての沖縄の人気は極めて高く、ダイビングやゴルフといったアクティブな趣味を持たなくても、内地では決して味わえない街の雰囲気、海と空の景色などにハマっていくのでしょう。

どんな場所での暮らしを望むのか

「心も身体も豊かな暮らし」を実現するためには、そのベースとなる拠点(住まい、場所)選びは重要です。どんな時間の使い方をするのかは、人それぞれですが、暮らす環境や過ごす場所(住まい)においては、「これがいい」という感覚は似ています。

 たとえば、場所という意味では、「狭い家より、程よく広い家」、「面前に建物がある部屋より、眺望のいい部屋」、「低地に建つ家より、丘の上に建つ家」、「埃っぽい街より、おいしい空気に囲まれた地域」という感じです。すべてにおいて後者の方が、「より、WELL-BEING」な環境です。

 沖縄がセカンドハウス先として選ばれる理由は、「心と身体が豊かになるための場所」と考える方が多いからでしょう。もちろん、気候の影響がもたらすものも大きいと思います。
 加えて、各大都市からの飛行機便が充実しており、那覇空港は中心市街地からも近く、飛行機利便性の高さも優位に働いています。

沖縄でのセカンドハウス需要は伸び、それが沖縄不動産価格を押し上げる

 今後ますます沖縄でのセカンドハウス需要は高まるものとおもいます。別荘やマンションなどを所有するのは、多くの人にとってハードルが高くなりますが、最近ではシェア別荘などの比較的安価なメニューも増えています。また、沖縄には、大手は参入していませんが、リゾート会員権施設も今後は増えると予想します。

 すでに沖縄の地価は、住宅地・商業地とも高い伸びを示していますが、住宅需要や商業利用はもちろん、こうしたセカンドハウス需要も不動産価格を押し上げる要因となるでしょう。

DIE WITH ZERO

 ビル・パーキンス氏の著書「DIE WITH ZERO~人生が豊かになりすぎる究極のルール~」がベストセラーとなっています。サブタイトルには「人生が豊かになる」という文言がありますが、よくある「お金を稼ぎ方や増やし方」という書籍ではなく、「どうお金を使い、どう豊かに過ごすか」について書かれた本です。

 DIE WITH ZERO」、つまり「ゼロで死ぬ」ということですから、「必要分以外のお金を貯めこむことなく、健康で身体が元気な間に、価値あることに使う」ことを推奨している内容となっています。

 この著書では、とくに比較的高年収の40代・50代のサラリーマン、そしてリタイア時期が迫ってきている60代にも影響を与えているようです。「自分が何をすれば幸せと感じるか、心地よい時間と思えるか」つまり「自分にとってウエルビーイングとは何か」を知り、「そのことに時間とお金を使う」ということが大切だと述べられています。「経験の価値を知る」や「思い出作りが人生最大の仕事」という記述もあり、心に響きます。