高い上昇率を誇っていた沖縄県の地価は、新型コロナウイルスの影響を強く受けて上昇率に急ブレーキがかかりました。21年の住宅地の公示地価はプラス圏をやっと維持した状況でした。22年分の地価公示では、「新型コロナウイルスの影響が出る前の上昇率水準に戻っているのか?」が注目されていました。
沖縄県の住宅地地価
はじめに住宅地の状況から見てみましょう。
沖縄県の住宅地地価は前年比+2.0%(前年は+1.0%)でした。昨年から上昇幅は増えたものの、20年分では+9.5%でしたので、その水準には戻っていません。
那覇市では、+1.0%(前年は+0.6%)でした。20年分は+9.9%でしたので、こちらもコロナ前の水準には戻っていません。新型コロナウイルスの影響に加えて、近年高止まりしていた調整局面にあると思われます。
都道府県別での上昇率は全国で4位となっています。
19年・20年分では上昇率がトップでしたので、こうして見ても回復には遠いことが分かります。しかし、先月のコラムでもお伝えしましたが、沖縄県における不動産関係者へのアンケート調査では、住宅地はかなり回復しているようでしたので、23年分では期待できるものと思われます。
沖縄県の商業地の状況
沖縄県における商業地の公示地価は前年比+0.7%(前年は+0.2%)となりました。商業地の20年分は+13.3%でしたので、住宅地と同様にコロナ前の水準には戻っていません。
那覇市の商業地の地価は前年比+0.1%でした。前年は2012年分以来のマイナス(-0.1%)でしたが、プラス圏に戻りました。観光の不振、外出自粛の影響が色濃く出た格好となりました。
都道府県別では9位となっていますが、観光に強い都道府県はいずれも、20年以降低迷が続いています。
商業地は、このあとの新型コロナウイルスまん延に対する県や国の対応次第と言えそうです。
再び「まん延防止」が発令されたり、あるいは「緊急事態宣言」が発令されたりすれば、地価の回復はしばらく厳しいと思われます。もし、そうなれば、3回目のハイシーズンを逃すことになり、「諦めムードがまん延する」ということになれば、観光・飲食・宿泊といった産業で、廃業などがこれまで以上に増えることになり、商業地地価に大きな影響を与えるでしょう。